FlowTune Media

AI作曲の2大巨頭、Suno v5.5とUdio v4 — ボーカルの自然さで選ぶか、編集の自由度で選ぶか

「AIで曲を作りたい」と思ったとき、最初にたどり着くのはSunoかUdioのどちらかだろう。

2026年現在、AI音楽生成の世界はこの2つがほぼ二分している。どちらもテキストから数十秒でフルトラックを生成でき、ボーカルもインストもカバーする。機能表だけ見ると違いがわかりにくい。だが実際に使うと、思想がまるで違うことに気づく。

Suno vs Udio

結論を先に

忙しい人のために先に書いておく。

歌モノを手軽に作りたいならSuno。ボーカルの自然さと一発で「聴ける曲」を出す力は、現時点でSunoが上。v5.5のHyper-Realismモードは、正直スタジオ録音と聴き分けるのが難しいレベルまで来ている。

細部を自分で詰めたいならUdio。Udioのインペインティング機能(生成済みの曲の2秒間だけを指定して再生成する)は、他のどのAI音楽ツールにもない。ミックスの質にこだわる人や、DAWで後から編集する前提の人に向いている。

ここからは、ボーカル品質・編集機能・料金・著作権の4軸で掘り下げる。

ボーカル品質: 感情のSuno vs 精密さのUdio

SunoのV5.5モデルは、ボーカルの表現力で一歩リードしている。息遣い、ビブラート、声の裏返り。歌い手の「感情」を再現する力が飛躍的に上がった。特にソウル、インディー、フォーク、カントリーのような「歌の表情」が生命線になるジャンルでは、Sunoの出力に説得力がある。

V5.5から追加された「Voices」機能も面白い。自分の歌声をモデルに学習させ、AIにその声で歌わせることができる。本人確認のために指定フレーズを読み上げる認証ステップがあり、他人の声を無断で使う悪用は一応防いでいる。

一方のUdio v4も、ボーカルの技術的精度は非常に高い。ビブラートのピッチ変動やトーンの陰影は、テスト環境ではSunoと僅差かそれ以上という声もある。ただし、長尺生成(4分超)になると品質が不安定になる傾向があり、一貫性ではSunoに軍配が上がる。

EDMやポップスのように、ボーカルがエフェクト処理される前提のジャンルでは、両者の差はほぼ感じない。

編集の自由度: Udioの「手術」、Sunoの「ワンテイク」

ここがUdioの最大の強みだ。

Udioのインペインティング機能は、生成された曲の中の2秒間だけを選んで「ここだけ変えたい」と指示できる。サビのボーカルだけ変える、ドラムのフィルだけ差し替える、ブリッジの一部だけテンポ感を変える——こうした外科手術的な編集が可能になる。

Sunoにはこれに相当する機能がない。気に入らない箇所があれば、基本的には全体を再生成するか、ステム分離でパートごとにDAWで差し替えることになる。V5.5でステム分離機能(ボーカル・ドラム・ベース・メロディ)が追加されたのは大きな進歩だが、Udioの「ピンポイントで2秒だけ修正する」体験とは質が違う。

Udio v4は48kHz対応で、最大10分までの長尺生成にも対応している。コンテキストウィンドウが拡張されたことで、曲全体の一貫性が以前より改善された。歌詞付きのリリックビデオを自動生成する機能もある。

料金: 月$10からの差

プラン Suno Udio
無料 50クレジット/日、非商用 基本クレジット、非商用
入門 Pro: $10/月(2,500クレジット) Standard: $10/月
上位 Premier: $30/月(10,000クレジット) Pro: 上位プラン
商用利用 Pro以上で可 有料プラン以上で可

Suno Premierの月$30(約4,500円)プランには、ブラウザベースのDAW「Suno Studio」が含まれる。これはステム分離した各パートをブラウザ上でミックスできる機能で、外部DAWなしで完結させたい人には便利だ。

コストパフォーマンスで見ると、月$10のSuno Proが最もバランスが良い。2,500クレジットで月50曲程度の生成が可能で、商用利用権もついてくる。Udioの$10プランも同等の位置づけだが、クレジットの消費効率や世代の品質で微妙な差がある。

どちらも無料プランで試せるので、自分の用途で聴き比べてから課金するのが無難だ。

著作権: 和解の進捗が異なる

AI音楽の最大のリスクは著作権だ。ここで両社の状況はかなり違う。

Udioは2025年10月にUniversal Music Group(UMG)と、同年11月にWarner Music Group(WMG)と和解。どちらもライセンス契約を締結し、2026年中にアーティストがオプトインで参加できるライセンス型プラットフォームを共同開発する計画になっている。残るSonyとの訴訟は継続中だが、3大レーベルのうち2つとの和解は大きい。

Sunoは2025年11月にWMGと和解・ライセンス契約を締結。ただしUMGおよびSonyとは交渉が難航しており、2026年4月の報道ではUMGとの和解交渉が行き詰まっている。Sonyとの裁判は2026年夏に判決が出る見通しで、AI音楽全体の法的先例になる可能性がある。

商用利用を前提にするなら、現時点ではUdioのほうがレーベルとの関係構築が一歩進んでいる。ただし、いずれの和解もアーティストの「オプトイン」が前提であり、既存楽曲の模倣リスクがゼロになったわけではない。YouTubeやSpotifyにアップロードする場合は、Content IDでフラグが立つ可能性を念頭に置いておくべきだ。

用途別、どっちを選ぶか

YouTubeのBGMが欲しい → Suno。商用利用権付きで、一発生成の品質が安定している。

ポッドキャストのジングル・効果音 → Udio。インペインティングで長さや雰囲気を微調整しやすい。

自分の歌声でAI楽曲を作りたい → Suno。Voices機能で自分のボーカルモデルを使える。

DAWで本格的にミックスする前提 → Udio。48kHz出力とステム分離の組み合わせが素材としての品質を担保する。

とにかく無料で試したい → Suno。無料プランのクレジットが日次で補充されるため、気軽に試行錯誤できる。

AIが曲を「作れる」時代のその先

正直な感想を書くと、2026年のAI音楽は「びっくりする」段階を超えて「普通に使える」段階に入った。SunoもUdioも、30秒あればそれなりに聴ける曲が出てくる。

ただ「それなりに聴ける」と「人に聴かせたい」の間には、まだ溝がある。そこを埋めるのが、Sunoの一発生成の表現力であり、Udioのインペインティングによる手直しだ。どちらのアプローチが自分に合うかは、「完成品を速く欲しい」か「素材を自分で仕上げたい」かで決まる。

両方使うのも悪くない。筆者はSunoでメロディとボーカルの方向性を探り、気に入ったアイデアが見つかったらUdioで細部を詰める、という使い方をしている。月$10×2で$20。DAW用のプラグインを1つ買うより安い。

関連記事