AI議事録の「ボット型」3社を比較する — Notta・tl;dv・Fireflies、選ぶ基準は1つだけ
AI議事録ツールを選ぼうとすると、だいたい最初に迷うのがこの3つだ。Notta、tl;dv、Fireflies.ai。いずれもZoomやGoogle Meetにボットを送り込み、録音・文字起こし・AI要約を自動で行う「ボット型」の議事録ツールで、機能の重なりが大きい。
GranolaやFathomのような「ボットなし型」とは別のカテゴリだ。ボット型はカレンダー連携で会議に自動参加し、自分が何もしなくても録音と文字起こしが始まる。便利な反面、会議相手の画面にボットが「参加者」として表示されるトレードオフがある。
3つとも無料プランがあり、どれも「録音・文字起こし・AI要約」の基本機能を揃えている。差がつくのは無料枠の太さ、日本語の強さ、CRM連携の深さの3点だ。結論を先に書くと、この3軸のどれを最優先にするかで答えが決まる。
料金比較:無料で使うならtl;dv一択
まず料金を並べる。いずれも年払い時の月額だ。
| プラン | Notta | tl;dv | Fireflies.ai |
|---|---|---|---|
| 無料 | 月120分(1回3分) | 無制限録音・文字起こし(AI要約10回) | 800分ストレージ |
| 有料(個人) | 月1,185円 / 月1,800分 | 月$18(約2,700円)/ 無制限 | 月$10(約1,500円)/ 8,000分 |
| 有料(チーム) | 月2,508円/席 / 無制限 | 月$59(約8,850円)/席 | 月$19(約2,850円)/席 |
無料プランの差は明確だ。
tl;dvの無料プランは「無制限の録音と文字起こし」を謳っており、3つの中で圧倒的に太い。ただし落とし穴がある。AI要約は生涯で10回限り。さらに録音データは3ヶ月で自動削除される。つまり、文字起こしは無限にできるがAI要約と長期保存は有料。それでも、議事録の「下書き」が無制限に無料で手に入るのは大きい。
Nottaの無料プランは月120分まで使えるが、1回あたり3分という制限がある。3分で切れる文字起こしでは会議に使えない。実質「有料プランの体験版」だ。
Fireflies.aiの無料プランは800分のストレージ付きだが、AI要約やCRM連携は含まれない。
有料プランでは、**Fireflies.aiの月$10(約1,500円)**が最安。Nottaの月1,185円もほぼ同水準だ。tl;dvの月$18(約2,700円)はやや高いが、無料プランの太さで入り口のハードルを下げている戦略だろう。
チーム向けではtl;dvが月$59/席と突出して高い。Nottaの月2,508円やFirefliesの月$19が現実的な選択肢になる。
日本語精度:Nottaが頭一つ抜けている
3つのツールはいずれも多言語対応だが、日本語の文字起こし精度には差がある。
| ツール | 対応言語数 | 日本語精度(公称) |
|---|---|---|
| Notta | 58言語 | 98.86% |
| tl;dv | 30言語以上 | 非公開 |
| Fireflies.ai | 60言語以上 | 非公開 |
Nottaは日本語精度98.86%を公式に掲げており、日本語の文字起こしに力を入れていることが明確だ。UIも日本語対応しており、日本市場向けのローカライゼーションが最も進んでいる。
tl;dvとFireflies.aiは日本語の精度を公表していない。どちらもWhisper系の音声認識をベースにしているとみられ、英語では高精度だが日本語はNottaに一歩譲る印象がある。UIは英語中心で、日本語話者にとっては操作のハードルがやや高い。
日本語の会議が中心なら、この時点でNottaが第一候補になる。英語の会議が中心なら、3ツールとも精度は十分で、他の基準で選ぶことになる。
CRM連携:Firefliesが営業チーム向き
営業チームにとって重要なのは、商談の内容が自動でCRMに反映されることだ。
| ツール | CRM連携数 | 主要CRM | 対応プラン |
|---|---|---|---|
| Notta | 7種 | Salesforce, HubSpot, Zendesk等 | Business |
| tl;dv | 5,000+連携(Zapier含む) | Salesforce, HubSpot, Pipedrive等 | Business |
| Fireflies.ai | Salesforce, HubSpot, Notion, Slack等 | Salesforce, HubSpot | Business |
数字だけ見るとtl;dvの「5,000+連携」が圧倒的だが、これはZapier経由の間接連携を含む数字だ。ネイティブのCRM連携で比較すると、3ツールとも主要CRM(Salesforce、HubSpot)に対応しており、大きな差はない。
Nottaが差をつけるのはCRM連携の「数」だ。Zendeskなど7種のCRMに直接対応しており、ツール選定の幅が広い。Fireflies.aiは会話インテリジェンス分析(発言比率、キーワード頻出、感情分析)をBusiness以上で提供しており、営業のパフォーマンス改善に使える。
tl;dvのBusiness(月$59/席)はCRM連携に加えてMCPサーバーやAPIアクセスが付くが、この価格帯はエンタープライズ寄りだ。
3つの選び方:あなたの優先順位はどれか
比較項目を並べると、3ツールの「得意分野」が見えてくる。
| 観点 | Notta | tl;dv | Fireflies.ai |
|---|---|---|---|
| 日本語精度 | ◎ | △ | △ |
| 無料プランの太さ | × | ◎ | ○ |
| 個人の月額コスパ | ◎(1,185円) | △(約2,700円) | ◎(約1,500円) |
| チーム月額コスパ | ◎(2,508円) | ×(約8,850円) | ◎(約2,850円) |
| CRM連携の幅 | ◎ | ○ | ○ |
| 営業分析機能 | △ | ○ | ◎ |
| UIの日本語対応 | ◎ | × | × |
日本語の社内会議が中心 → Notta
日本語UIと98%台の日本語精度が決め手。月1,185円で1,800分(30時間)のプレミアムプランは、週5〜6本の1時間会議をカバーする。日本の企業文化に合わせたサポート体制もある。
まず無料で試したい → tl;dv
無制限の録音・文字起こしが無料なのはtl;dvだけ。AI要約の10回制限と3ヶ月の削除期限はあるが、「文字起こしだけでいい」なら永久に無料で使える。導入障壁が最も低い。
営業チームでCRM自動化したい → Fireflies.ai
月$19/席のBusinessプランでSalesforce・HubSpot連携と会話インテリジェンス分析が使える。商談の発言比率やキーワード分析で営業プロセスの改善につなげたいチームに向く。月額もtl;dvの約3分の1だ。
ボット型の共通課題
最後に、3ツール共通の制約に触れておく。
どのツールもZoomやGoogle Meetに「ボット」として参加するため、相手側の画面にボット名が表示される。社内ミーティングなら問題ないが、初対面のクライアントとの商談では「何か変なのが参加してるんですが…」と聞かれるリスクがある。社外利用が多いなら、ボットなしで動くGranolaやFathomも検討した方がいい(GranolaとFathomの比較はこちら)。
もう一点、どのツールもクラウドにデータを送信する。録音データと文字起こし結果がサーバーに保存されるため、機密性の高い会議での利用はセキュリティポリシーとの照合が必要だ。NottaはSOC 2 Type IIとISO 27001を取得しているが、tl;dvとFireflies.aiも同等のセキュリティ認証を取得済み。この点での差は小さい。
結局のところ、「日本語」「無料」「CRM」のどれを優先するかで答えは一つに絞れる。迷ったら、tl;dvの無料プランで試してから、必要に応じてNottaかFireflies.aiの有料プランに移行する——というのが最もリスクの少ない選び方だろう。
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