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月1,185円で議事録が不要になるか — Nottaの料金・精度・死角を整理する

会議が終わった直後に、発言者ごとに整理された議事録が手元にある。要約も付いている。自分はメモを一切取っていない。

この体験を月1,185円で実現するのが、AI文字起こしツール「Notta」だ。Zoom・Google Meet・Microsoft Teams・Webexの会議にボットが自動参加し、録音・文字起こし・AI要約までを一気通貫で処理する。58言語に対応し、SOC 2 Type IIとISO 27001認証を取得済み。

日本語のAI文字起こし市場は混戦状態で、Otter.ai、tl;dv、Fireflies.ai、Granola、Fathomなど選択肢が多い。Nottaはその中で「日本語精度」と「日本語UI」を武器にしているが、果たしてその実力はどこまでのものか。

料金:無料プランは「お試し」でしかない

Nottaの料金体系は4段階ある(いずれも年払い時の月額)。

プラン 月額 文字起こし 1回の上限 主な機能
フリー 0円 月120分 3分 AI要約10回/月
プレミアム 1,185円 月1,800分 90分 翻訳・エクスポート
ビジネス 2,508円/席 無制限 5時間 CRM連携7種
エンタープライズ 要相談 無制限 要相談 SSO・専任サポート

無料プランの「月120分」は一見十分に見えるが、落とし穴がある。1回あたり3分という制限だ。3分を超えた時点で文字起こしが止まる。つまり、会議の録音にはまったく使えない。使えるのは短い音声メモやボイスレコーダーの書き起こし程度で、実質的には「有料プランの体験版」と考えるべきだろう。

プレミアムの月1,185円(年払い)は、1回90分・月1,800分(30時間分)をカバーする。週に5〜6回の1時間会議がある人なら、このプランで十分足りる計算だ。月払いだと1,980円になる。

ビジネスプランの目玉はCRM連携だ。Salesforce、HubSpot、Zendeskなど7種に対応しており、会議の内容を自動でCRMに反映できる。営業チームにとっては、商談メモの転記作業がゼロになる可能性がある。Otter.aiやFireflies.aiもSalesforce・HubSpot等のCRM連携を持つが、Nottaは7種(Salesforce、HubSpot、Pipedrive、Zoho CRM、Freshsales、Salesflare、Zendesk Sell)と選択肢が多い。

日本語精度98%の実態

Nottaは公式に日本語認識精度98.86%を謳っている。この数字を額面通り受け取っていいのかは、使い方による。

静かな環境で一人が明瞭に話す場合、確かに高い精度が出る。録音品質が良ければ、ほぼそのまま議事録として使えるレベルだ。

一方で、実際の会議環境——複数人が同時に話す、マイクから遠い人がいる、背景雑音がある——になると話は変わる。ITreviewのユーザーレビューでは「はい、それでは」が「配送では」と誤認識されたケースが報告されている。冒頭の挨拶や相槌など、文脈に依存する短いフレーズほど精度が落ちる傾向がある。

これはNottaに限った話ではなく、AI文字起こし全般の課題だ。ただ、98%という数字だけを見て完璧な文字起こしを期待すると、現実とのギャップに戸惑うだろう。「議事録の下書きを作ってくれるツール」と捉えた方が、結果的に満足度は高くなる。

本当に便利な機能

文字起こしの精度以上に価値があるのは、会議のワークフロー全体を変える機能群だ。

カレンダー連携による自動参加は、地味だが最も生産性に効く。Googleカレンダーと連携すると、会議が始まるとNottaのボットが自動で参加し、録音と文字起こしを開始する。自分は会議に集中するだけでいい。「録音ボタンを押し忘れた」がなくなる。

話者識別もよくできている。事前に参加者の声を登録しておけば、「田中: 来月のリリースは間に合いますか」「鈴木: 厳しいかもしれません」のように、発言者ごとにラベル付けされた文字起こしが出力される。議事録としての使いやすさが段違いだ。

Notta Brainは、蓄積された会議データに対して横断的にAIで質問できる機能。「先月のプロジェクト会議でリスクとして挙がった項目は?」と聞けば、複数の会議録から関連する発言を拾い出してくれる。会議の記録が単なるログではなく、検索可能なナレッジベースになる。この機能が実用レベルで動くなら、月1,185円の元はすぐに取れる。

Nottaの死角

良い面ばかりではない。

ボットの存在が気になる問題は見過ごせない。Nottaのボットは会議に「参加者」として入るため、相手側の画面に表示される。社内会議ならいいが、社外のクライアントとの打ち合わせでは「なんかボットが入ってきた」と不信感を持たれる可能性がある。この点では、ボット不要で動くGranolaやFathomの方が社外利用には向いている。

無料プランの3分制限は前述の通り。お試しとしてもほぼ機能しない。少なくとも1回15分程度は許容してほしいところだ。

オフライン対応がないのも用途を限定する。録音と文字起こしにはネットワーク接続が必須で、電波の弱い会議室やオフライン環境では使えない。

Tencentエコシステム製品ではないが、Notta自体も中国系の開発元(Langogo Technology)であることは認識しておくべきだろう。SOC 2 Type IIとISO 27001を取得しているとはいえ、データの取り扱いに敏感な企業は自社のセキュリティポリシーと照合した上で導入を判断した方がいい。

どんな場面にハマるか

Nottaの強みが最も活きるのは、日本語中心の社内会議を大量に抱えるチームだ。週に10本以上の定例がある部門なら、議事録作成の自動化だけで月に数十時間を取り戻せる。

営業チームにとっては、Notta Brainとの組み合わせが武器になりうる。商談内容が自動で蓄積され、「A社は前回どんな懸念を示していたか」を即座に検索できる。CRM連携が加われば、商談メモの手入力も不要になる。

逆に、社外との打ち合わせが中心の人にはボットの存在が障壁になる。また、英語メインの環境ならOtter.aiの方が英語の精度で上回る印象がある。ツールの選択は、会議の言語と相手先によって変わる。

結論として、Nottaは「日本語の社内会議を多く抱える人」にとってはコスパの良い選択肢だ。月1,185円で議事録作成から解放されるのは、正直かなり大きい。ただし、98%の精度を過信せず、出力された文字起こしを軽く確認してから共有する習慣は必要だろう。

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