Grammarlyが社名ごと変えて出した「どのアプリでも働くAI」— Superhuman Goが他社エージェントを取り込み始めた
「Grammarly」という名前に馴染みがある人は多いと思う。英文の文法チェックから始まり、いつの間にか文章まるごとをAIが書き直してくれるツールになっていた、あのGrammarlyだ。
その会社が、社名そのものを Superhuman に変えた。そして看板プロダクトとして押し出しているのが Superhuman Go。ひとことで言えば、「あなたが作業しているどのアプリの中でも動く」AIアシスタントだ。Product Huntでも上位に顔を出し、直近ではその中身がさらに広がってきている。
「アプリを横断する」とはどういうことか
普通のAIアシスタントは、専用のチャット画面を開いて、そこで指示を出す。Superhuman Goの発想はそこが違う。
Goはブラウザ拡張として、あなたが開いているあらゆるタブの「中」で動く。メール、Slack、Asana、Jira——普段使っているアプリの上に薄く乗って、その場で下書きを作ったり、過去の決定事項を引っ張り出したり、会議の段取りを最初から最後まで面倒みたりする。100以上のアプリと繋がる、というのが売り文句だ。
土台には、傘下に収めた Coda の「Coda Brain」が使われていて、ローンチ時点で 100の権限管理エージェント(permission-aware agents) を備える。この「権限を理解している」という点が地味に重要で、要は「その人が見てはいけない情報には、エージェントも触らない」を最初から前提にしている。企業で使うことを考えると、ここが担保されているかどうかで採否が変わる。
ニュースは「他社のエージェントを取り込み始めた」こと
今回あらためて注目したいのは、Superhuman Goが自前のエージェントだけで閉じていないことだ。
直近で、Box・Gamma・Wayground といった他社のエージェントが新たにパートナーとして加わった。さらにPrezi傘下のSwoopなども続くとされている。つまりGoは、単体の万能アシスタントを目指すのではなく、「いろんな会社のAIエージェントをまとめて呼び出せるハブ」になろうとしている。
これが効いてくる場面を想像してみる。メールのスレッドを見ながら「この内容でプレゼン資料を作って」と頼めば、資料生成が得意なGammaのエージェントが動く。「関連する契約書を出して」と言えば、Boxのエージェントがファイルを引っ張ってくる。アプリを行き来してコピペを繰り返す作業が、一つの会話の中で片づく——そういう世界だ。
個人的には、この「ハブ化」の方向は素直に筋がいいと思う。私たちの仕事はもともと複数のSaaSにまたがっていて、AIだけを一つの箱に閉じ込めても結局アプリ間の移動は消えない。Goのように既存アプリの上に被さる形なら、その移動そのものを肩代わりできる。
競合だらけの中での立ち位置
とはいえ、正直に言えば「どこでも動くAIアシスタント」は今いちばん混み合っている領域だ。OpenAIがDevDayで出した常駐エージェント、MicrosoftのCopilot——各社が同じ椅子を奪い合っている。
その中でSuperhumanの武器は、Grammarlyとして積み上げてきた巨大な導入ベースだろう。すでに世界中のブラウザに拡張機能が入っている。新しいアプリを入れさせる必要がなく、既存のユーザーにそのままGoを届けられるのは、ゼロから始める競合にはない強みだ。
一方で懸念もある。「あらゆるタブの中で動く」ということは、裏を返せば「あらゆるタブの中身を読める」ということでもある。権限管理をうたってはいるが、業務データを横断して扱うツールである以上、導入前に何をどこまで読むのかは確認しておきたい。それと、この手の「万能に見えるアシスタント」は、デモは華やかでも実務の相棒として定着するかは別問題、というのが過去の教訓でもある。
誰に向くか
刺さりそうなのは、すでにGrammarly/Superhumanを使っていて、日々いくつものSaaSを行き来している人や小チームだ。特に、資料作成・ファイル探し・会議調整といった「アプリまたぎの雑務」が多い働き方の人には試す価値がある。
逆に、使うツールがメールとドキュメントくらいに絞られている人は、わざわざ横断型を入れる必要は薄いかもしれない。まずは自分の一日を振り返って、「アプリを切り替えている時間」がどれくらいあるかを数えてみると、Goが効くかどうかが見えてくる。
詳細はSuperhuman Go公式で確認できる。「AIを一つのアプリに閉じ込めない」という設計が、これからのアシスタントの標準になるのか、見届けたい。
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