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Codaが消えて「Superhuman Docs」になった — Grammarly買収の先にあるAIワークスペース

Codaを使っていた人は、7月8日にログインして少し驚いたかもしれない。

ロゴが変わっている。名前も変わっている。「Coda」はもういない。代わりに「Superhuman Docs」という名前が画面に表示されている。ドキュメントもワークフローもデータも、すべてそのまま残っている。ただ、名前と見た目だけが変わった——と言いたいところだが、中身もかなり違う。

CodaからSuperhuman Docsへ

経緯を整理する。

2025年、GrammarlyがCodaを買収した。同時期にGrammarlyはメールアプリのSuperhuman(旧Superhuman Mail)とも合流し、3つのプロダクトを1つの傘下に統合する動きを進めていた。

そして2026年7月8日、CodaはSuperhuman Docsとして正式にリブランドされた。既存のCodaユーザーのドキュメント、ワークフロー、料金プランはそのまま引き継がれている。

表面的にはただの名前変更だが、狙いは明確だ。Superhuman Mail(メール)+ Grammarly(文章校正AI)+ Superhuman Docs(ドキュメント・ワークフロー)を1つのスイートとして売る。Microsoftが Office + Teams + Copilot で企業を囲い込んでいるのと同じ構造を、AI時代にゼロから作ろうとしている。

Docs AI — ドキュメントの中で動くAI

リブランドの目玉が「Docs AI」だ。

ChatGPTやClaudeのようなチャットAIと違うのは、Docs AIはドキュメントの中で直接操作できるという点にある。チャットパネルから「プロジェクトトラッカーを作って」と言えば、テーブルを含むドキュメントがその場に組み上がる。コメントを解決したり、テーブルのデータを整理したり、会議メモから次のアクションアイテムを抽出したりもできる。

これはNotionのAI機能と近い方向性だが、Codaの強みだった「プログラマブルなドキュメント」の特性が活きている。ボタン、自動化、数式、外部サービス連携——これらを組み合わせたワークフローをAIが構築できるのは、テーブルとテキストの両方を扱える旧Codaの設計思想があってこそだ。

正直、ドキュメントAIの中では一番「仕事が片付く」感覚がある。Notion AIは文章を書くのはうまいが、構造化されたワークフローを組み立てるのはまだ苦手だ。Superhuman DocsのAIは最初から「構造を作る」方向に振っている。

Superhuman Databases — 100万行の壁を超える

同時に発表されたのが「Superhuman Databases」だ。

Codaの大きな不満のひとつが、大量のデータを入れるとパフォーマンスが劣化する問題だった。数千行のテーブルで操作がもたつくのは、ビジネスユースではかなりのストレスだ。

Superhuman Databasesはこの問題を正面から解決しにきた。100万行まで対応し、パフォーマンスを犠牲にしないと謳っている。データ専用のインターフェースが追加され、テーブルビュー、フォームビュー、カレンダービューなど複数の見方が用意されている。

Airtableの代替として使えるレベルになった、と言ってもいいかもしれない。ただし、実際に100万行を入れたときの体感速度は自分の目で確かめる必要がある。公称スペックと実際のUXは往々にして乖離するものだ。

MCP対応 — Claude・ChatGPT・Cursorと繋がる

もうひとつ見逃せないのが、Superhuman Docs MCPの提供だ。

MCP(Model Context Protocol)に対応したことで、Superhuman DocsのデータにClaude、ChatGPT、Cursorなど外部のAIツールからアクセスできるようになった。たとえばClaudeにSuperhuman Docsのテーブルを読ませて分析させたり、Cursorのエージェントにドキュメントの内容を参照させたりできる。

これはドキュメントツールの立ち位置を「AIの作業場」から「AIのデータソース」に広げる動きだ。ドキュメントそのものをAIで書くだけでなく、ドキュメントに蓄積された情報を外部AIの入力として使う。Notion APIでも似たことはできるが、MCPという標準プロトコルで統一されている分、セットアップは楽だ。

料金とNotionとの比較

Superhuman Docsの料金は「Free to start」で、個人利用なら無限ページ・無限オブジェクトが無料で使える。Docs AIとMCPも無料枠で試せる。チーム利用や高度な機能が必要な場合にアップグレードする形だ。

一方、Notionの個人プランは無料で、AI機能は有料プラン($10/月〜、約1,500円)に含まれる。

機能面での住み分けは割とはっきりしている。

Notion AIは知識管理とライティングが得意だ。Wikiを作り、ページ間を横断してAIに質問し、文章をリライトする。ドキュメントの「読み書き」に強い。

Superhuman Docsはワークフロー自動化とデータ駆動の作業に強い。ボタンひとつでSlack通知を飛ばし、テーブルのデータが条件を満たしたら自動でメールを送るような仕組みを、ドキュメントの中に埋め込める。ドキュメントの「実行」に強い。

どちらが優れているという話ではない。チームのナレッジベースを整理したいならNotion。業務プロセスをドキュメント上で自動化したいならSuperhuman Docs。使い方が違う。

気になる点

Grammarly傘下に入ったことで、Codaの独自性がどこまで維持されるかは未知数だ。

旧Codaは「ドキュメントの中にアプリを作れる」というコンセプトが尖っていた。プログラミングなしで業務アプリを構築するノーコードプラットフォームとしての側面があった。Superhuman Docsになってからも、その機能は残っているが、マーケティングの軸は「AI + チームコラボ」に移っている。

もうひとつ、日本語対応は期待しないほうがいい。旧Codaの時点でUIは英語のみだったし、Superhuman DocsになってもそれはWebサイトが示す限り変わっていない。Docs AIが日本語の入力を理解して日本語で返してくれるかどうかも、現時点では確認できていない。

学習曲線の高さもG2レビューで複数指摘されている。Codaの柔軟さは裏を返せば複雑さで、初見のユーザーが「Notionと何が違うの?」と感じるハードルは依然として高い。

Superhuman Docsが開く可能性

Superhuman Mail + Grammarly + Superhuman Docsの統合が完成すれば、メールの受信からドキュメント作成、ワークフロー実行まで、1つのエコシステム内で完結する世界が見えてくる。

たとえば、Superhuman Mailで受信した案件メールから、Docs AIが自動で提案書のドラフトを作り、Grammarlyがトーンと文法を整え、Superhuman Databasesに案件データを追加し、進捗が変わればSlackに通知する——という一連のフローが、すべてSuperhuman内で閉じる。

現時点ではこれは部分的にしか実現していない。ただ、パーツは揃いつつある。Microsoft 365とGoogle Workspaceの二大勢力に、AI時代の第三勢力として割り込めるかどうか。その答えが出るのは、統合がどれだけ滑らかに進むかにかかっている。

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