Apple Watchのデータも血液検査の結果も、Perplexityに渡せるようになった

体重推移、睡眠スコア、心拍数、血液検査の結果——こうしたデータは普通、複数のアプリやポータルに散らばっている。Apple HealthとFitbitと病院の電子カルテをまたいで「最近の体調どう?」と横断的に聞ける場所は、これまでなかった。
Perplexityがその場所になろうとしている。3月にローンチした「Perplexity Health」は、健康データをAI検索に統合する機能だ。
何ができるのか
Perplexity HealthはApple Health、Fitbit、Ultrahuman、Withingsといったウェアラブルデバイスのデータに加え、170万以上の医療機関の電子カルテ(EHR)に接続できる。Ouraとの連携も準備中だ。
これらのデータを接続した状態で健康に関する質問をすると、Perplexityは一般的な医療知識だけでなく、ユーザー自身のデータを参照して回答する。「先月の睡眠パターンに変化はあるか」「最新の血液検査の結果で気になるところは」といった、パーソナライズされた問いかけが可能になる。
バイオマーカーの推移をダッシュボードで可視化する機能もあり、Perplexity Computer(AIエージェント機能)と組み合わせれば、個人の健康データに基づいたフィットネスプランや栄養プランの自動生成もできるという。
「AIに健康データを渡す」ことへの温度差
海外メディアの反応は割れている。TechRepublicやModern Healthcareは実用的なツールとして好意的に取り上げた一方、AppleInsiderは「nobody should use(使うべきでない)」と辛辣な見出しで報じた。
懸念の核心はシンプルだ。健康データは、クレジットカード情報と並んで最もセンシティブな個人情報にあたる。それをAI企業に渡すリスクを受け入れるかどうか。
Perplexity側のプライバシー対策は手厚い。健康データは暗号化され、AIモデルの学習には使われず、第三者への販売もしないとしている。データの管理・削除はいつでも可能。さらにHealth Advisory Board(医師・研究者による諮問委員会)を設置し、医学的な妥当性の監修体制も敷いている。
対策としては筋が通っている。だが「言ってることは正しいが、信じるかどうかは別の話」というのがプライバシー問題の本質だろう。
利用条件と制限
現時点ではPro(月20ドル、約3,000円)またはMax(月200ドル、約30,000円)の有料会員が対象で、米国限定の提供だ。日本からは利用できない。
ただし、Apple Healthのデータ自体は地域制限なく蓄積されるため、仮に将来日本で解放された場合、すぐに使い始められる状態ではある。日本の電子カルテシステムとの接続には独自の課題があるだろうが、ウェアラブルデータだけでも十分に実用的だ。
ChatGPTのヘルス機能との違い
OpenAIもChatGPTにApple Health連携を実装しているが、Perplexity Healthとはアプローチが異なる。ChatGPTは会話の中でヘルスデータを参照する程度だが、PerplexityはEHR(電子カルテ)まで統合し、バイオマーカーダッシュボードやAIエージェントによる自動プラン生成まで踏み込んでいる。
健康データの「検索」としてはPerplexityの方が包括的だ。一方、医療の文脈で会話ベースの相談がしたいならChatGPTの方がシンプルに使える。どちらが良いかはユーザーの用途次第。
日本のユーザーにとっての意味
米国限定サービスなので今すぐは使えない。だが注目すべきは方向性だ。
AI検索が「自分の身体のことを知っている」状態は、検索体験を根本から変える可能性がある。「コレステロール値が高めだけど卵は食べていいか」という質問に、一般論ではなく自分の検査値をもとに答えが返ってくる。
Google Healthの撤退やApple Health Records の伸び悩みを見ると、健康データの統合はテック企業にとって鬼門だ。Perplexityがこの領域で定着できるかは未知数だが、「健康データ × AI検索」の組み合わせに挑戦するプレイヤーが出てきたこと自体が、次の数年を占う動きではある。
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