Excel、Word、PowerPointの中にPerplexityが住みついた — M365アドインで何が変わるか
Officeアプリを開いたまま、隣のサイドパネルでAIに指示を出す。タブを切り替えることなく、Wordの文章をリライトし、Excelのシートを分析し、PowerPointのスライドを生成する。
5月29日、PerplexityはComputer for Microsoft 365を発表した。Word・Excel・PowerPoint・Outlookの4アプリに対応するネイティブアドインで、サイドパネルからPerplexity Computerを直接操作できる。
Copilotとの違いは「外とつながっている」こと
正直に言えば、Microsoftには既にCopilotがある。OfficeアプリにAIを組み込む発想は新しくない。
ただ、Perplexity Computerが持っている武器は「接続先の幅」だ。SharePointやOneDriveはもちろん、Salesforce、Snowflake、FactSetなど400以上の外部データソースにコネクタで接続できる。Copilotが基本的にMicrosoft圏内のデータに閉じているのに対し、Perplexityは社内データとWebの両方を横断して調査し、その結果をOfficeアプリ上にそのまま反映する。
Deep Researchを使えば、Web上の情報と社内ドキュメントを組み合わせた分析レポートをWord上で直接生成できる。これはCopilotにはできない芸当だ。
各アプリでできること
Word — ドラフト作成、リライト、要約、フォーマット調整。Deep Researchで新しいセクションを追加することも可能で、Webと社内データの両方をソースにできる。
Excel — シートの読み書きと分析。数式の生成だけでなく、外部データソースから直接ワークブックにデータを引き込める。財務モデルやDCFの編集にも対応。
PowerPoint — Word文書やExcelのワークブック、テキストプロンプトからスライドを生成。既存デッキの更新にも使え、変更をコミットする前にプレビューで確認できる。
Outlook — スレッドの文脈と添付ファイルを読み取ったうえでメールを作成・リライト。会議ブリーフや営業資料の準備も、メールボックスと接続データから自動生成する。
なおTeamsとSharePointにはすでに対応済みで、今回のアップデートでM365スイート全体をPerplexityがカバーした形になる。
実務で効くのは、アプリをまたぐ連携だ。たとえばOutlookで受け取った提案書の要点をPerplexityに分析させ、その結果をWord上で報告書に起こし、さらにPowerPointのスライドに変換する。これを1つのサイドパネルから指示できる。従来なら3つのアプリ間でコピペを繰り返す作業が、Perplexityに「この提案をまとめてスライドにして」と頼むだけで済む可能性がある。
料金と対象プラン
無料ユーザーは対象外。Pro(月$20)、Max(月$200)、Enterprise Pro、Enterprise Maxのいずれかが必要になる。
20以上のAIモデルをタスクに応じて自動選択する仕組みのため、単純なテキスト補完とは異なるレベルのことをやっている。ただし月$20のProプランで実際にどこまで使えるのか(クレジット制限など)は、使い込んでみないと分からない部分が残る。
導入方法
Microsoft Marketplaceからアドインをダウンロードし、M365管理センターでユーザーやグループに割り当てるだけ。IT管理者にとっては既存のアドイン管理フローと同じなので、新しいインフラを用意する必要はない。
Outlookに関してはWeb版、新旧Outlookデスクトップ、Mac版のすべてに対応している。
PerplexityがOfficeに来ることの意味
これまでPerplexityは「検索の代替」として語られることが多かった。しかしComputerのM365統合は、PerplexityがOfficeワーカーの日常業務に食い込もうとしていることを示している。
調べ物をして→Wordにまとめて→スライドに起こして→メールで送る。このワークフローを全部Perplexityに任せられるとしたら、それは検索ツールではなく業務アシスタントだ。
ただし気になる点もある。Copilotの利用料(月$30/ユーザー)を払っている企業がPerplexityにも課金するかどうか。両方入れれば便利だが、経理部門を説得するのは容易ではない。Proプランの月$20で済むなら個人導入のハードルは低いが、Enterprise規模で展開するとなればCopilotとの棲み分けが問われる。
PerplexityはAI検索×エージェント×既存業務ツールという三つの柱を同時に押さえにかかっている。M365アドインはその最後のピースかもしれない。
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