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45人でMicrosoft Officeに挑む — インドの起業家が自腹$30Mで作ったAIオフィス「Neo」

社員45人。エンジニア18人。対する相手はMicrosoftとGoogle。

7月2日、インドの連続起業家Bhavin Turakhia(バビン・トゥラキア)がNeoを公開した。AIネイティブなオフィスプラットフォームで、プロジェクト管理、ドキュメント作成、ファイルストレージ、そしてAIエージェントを1つの環境に統合する。自己資金$30M(約45億円)を投じた。VCの金ではない。自分のポケットマネーだ。

「Nokiaの部品でiPhoneは作れない」——Turakhiaはそう語る。Microsoft 365にCopilotを載せても、Google WorkspaceにGeminiを足しても、根本の設計思想は「人間が手作業で文書を編集する」前提のまま。AIの時代に合わせて地面からやり直す必要がある、というのがNeoの出発点だ。

Turakhiaとは何者か

聞き慣れない名前だが、実績は確かだ。

1998年、18歳のときに兄と共同でDirectiを創業。Webホスティング事業を2014年に$1.6億で売却。その後、メールプラットフォームのTitan(Automattic出資、評価額$3億)、バンキングソフトウェアのZeta(SoftBank出資、評価額約$20億)を立ち上げた。Neoは5つ目の事業になる。Forbes Indiaの富裕層ランキングにも名を連ねている。

自腹で賭ける理由について、Turakhiaは明言していない。ただ過去の事業でも自己資金で立ち上げてから外部資本を入れるパターンを繰り返しており、VC依存を避ける哲学が一貫している。

4つのプロダクトと「Friday」

Neoの構成は4つのプロダクト+AIレイヤーだ。

  • Tasket — タスク管理。担当者・期限・進捗を管理するプロジェクト管理ツール
  • Studio — ドキュメント、スプレッドシート、ダイアグラムを作成・編集するナレッジ管理
  • Drive — 人間とAIエージェントが共同で作業できるファイルストレージ
  • Friday — AIエージェント。1,000以上の外部アプリと連携し、レポート作成やスケジュール管理を自律的に実行する

Fridayが単なるチャットボットではなく「同僚」として設計されている点がNeoの核心だ。人間と同じワークスペースに存在し、タスクを割り振られ、進捗を報告し、ドキュメントを編集する。Copilotが「人間のアシスタント」なら、Fridayは「AIの同僚」という位置づけになる。

技術的に注目すべきは、Neoがモデル非依存である点だ。OpenAI、Anthropic、その他のモデルプロバイダーを、タスクの要件やコストに応じて動的に切り替えられる。Microsoftが自社モデル(とOpenAI)に縛られ、GoogleがGeminiに縛られるのとは対照的だ。企業にとって、特定のAIベンダーにロックインされないことは長期的な安心材料になる。

月額$15の挑発

料金は1ユーザーあたり月額$15(約2,250円)。AIエージェント利用込みの価格だ。

Microsoft 365 Business Basicが月額$6だが、Copilotを追加すると月額$30になる。Neoはスイート全体+AIエージェントで$15。半額だ。もちろんMicrosoft 365の機能網羅性とNeoを直接比較するのはフェアではないが、「AIを使った仕事」に限れば、コスト構造は大きく異なる。

一般公開は2027年1月の予定。2026年8月からインドと米国で選定顧客への先行提供が始まる。

正直に言えば、壁は高い

Neoの構想は魅力的だが、課題は山積みだ。

まず、プロダクトがまだ外部に出ていない。4月に社内ローンチしたばかりで、外部ユーザーのフィードバックはゼロだ。AIネイティブ設計がどれだけ実用的かは、実際に使ってみないとわからない。

次に、企業が既存のMicrosoft 365やGoogle Workspaceから移行するハードルは極めて高い。メールの移行、ファイルの移行、ワークフローの再構築、社員の再教育——これらのスイッチングコストは、月額の差額では埋まらない。

45人のチームでエンタープライズ向けのSLA、セキュリティ認証、カスタマーサポートをどこまで提供できるかも未知数だ。中堅企業(500〜5,000人規模)をターゲットにしているとはいえ、この規模の企業でも調達審査は厳しい。

そしてTurakhiaがAI開発で3カ月でプロダクトを立ち上げたという事実は、裏を返せば競合も同じスピードで類似製品を出せるということだ。

それでも見る価値がある理由

悲観的な材料は多い。しかし、MicrosoftもGoogleも「レガシーの上にAIを載せた」構造である事実は変わらない。AIファーストの設計が本当に生産性を変えるなら、どこかのタイミングで「ゼロから作り直したほうが早い」と気づく企業が出てくる。Neoはその仮説に$30Mを張った最初の大きな賭けだ。

Turakhiaの過去を見れば、少なくとも「作りきれない」ことはなさそうだ。Directi、Titan、Zetaと、すべて稼働するプロダクトに育てている。問題は「作れるか」ではなく「広められるか」だ。

2027年1月の一般公開までに、Fridayがどれだけ賢くなっているか。そこが分水嶺になる。

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