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AI検索での「見え方」を無料で計測する — FreeSOVの使い方と限界

あなたのサイトは、ChatGPTにどう紹介されているか知っているだろうか。

Googleの検索順位は毎日チェックしている人でも、「ChatGPTに料金を聞かれたときに自社サービスが言及されるか」「Perplexityで競合と比較されたときにどう評価されているか」は把握していないことが多い。消費者の42%がすでにAIツールで商品を探している時代に、これは大きな盲点だ。

FreeSOVは、この盲点を埋めるためのツール。ChatGPT、Claude、Gemini、Perplexity、Google AI Overviewsでの自社ブランドの「見え方」を追跡できる。そして名前の通り、無料。

GEO/AIOという新しい競争領域

従来のSEOが「Google検索で上位に表示されること」だとすれば、GEO(Generative Engine Optimization)やAIO(AI Optimization)は「AIが回答を生成するときに自社が言及・引用されること」を指す。

この市場にはすでに有料ツールが複数ある。Profound($96Mを調達してユニコーンに)、Otterly.ai、Nightwatch、Temso。いずれも月額$29〜$499の価格帯だ。FreeSOVはその無料版として、SEOコミュニティで急速に注目を集めている。

仕組み — BYO APIキーとは

FreeSOVのビジネスモデルは独特だ。ツール自体は無料だが、AI各社のAPIキーを自分で持ち込む(Bring Your Own Keys)必要がある。

具体的には、以下のいずれかを設定する:

  • DataForSEO のアカウント(Google AI Overviews、ChatGPT、Perplexityのデータを一括取得)
  • または 各社の直接APIキー(OpenAI、Anthropic、Google、Perplexity)

セットアップ後、追跡したいプロンプト(検索クエリに相当するもの)をトピックごとにグループ化し、どのAIソースに対して・どの頻度で実行するかを設定する。スケジューラーが自動でジョブを実行し、結果をシェア・オブ・ボイスの数値に集約してくれる。

取得できる指標

FreeSOVのダッシュボードで確認できるのは以下だ。

Visibility Score — 全AI実行のうち自社ブランドが出現した割合。日次でトレンド表示され、月ごとの比較が可能。

Citation & Mention Share — ソースごとに「引用元として紹介された回数」と「名前だけ言及された回数」を分けて集計。競合と比較して、どのAIプラットフォームで負けているかが一目でわかる。

Query Fan-out — 各LLMがプロンプトを内部で分解したサブクエリを可視化する。AIがどんなキーワードや文脈で自社を言及しているかがわかる。

Sentiment — 各言及がポジティブ・ニュートラル・ネガティブのどれかをスコアリング。AIが自社について否定的なトーンで語っていないかを検知できる。

Per-source Cost — 日次のAPI費用をソースごとに分類。DataForSEO経由と直接API経由のコストを個別に追跡する。

全ページでCSVエクスポートに対応しており、既存のレポートフローに組み込みやすい設計になっている。

実際のコスト感

ツール自体は無料だが、API呼び出しには当然コストがかかる。

DataForSEOの場合、1リクエストあたりコンマ数セント(最低入金$50、お試し$1)。直接APIの場合はモデルの従量課金が適用される。筆者の試算では、週に50〜100クエリを5ソースで回す程度なら月$5〜30程度で収まるだろう。

有料ツールとのコスト比較:

ツール 月額 特徴
Profound $99〜$499+ Fortune 500の10%が利用。10以上のAIエンジン対応
Otterly.ai $29〜$489 15クエリ($29)〜100クエリ($189)
Temso $29〜 8エンジンをモニタリング
FreeSOV $0(API費のみ) BYO Keys。月$5〜30程度

月$5〜30で有料ツールの$29〜$499と同等のレポートが手に入ると考えれば、かなりの価格差だ。

作った人

FreeSOVの開発者はRyan Jones氏。デジタルマーケティング代理店Razorfishでシニアバイスプレジデント(SEO部門)を務める人物で、SERPrecon.comなどSEOツールの開発実績がある。20年以上の検索マーケティング経験を持つが、FreeSOVは個人プロジェクトとして公開されている。

正直な限界

いくつか気になる点がある。

APIキーの信頼問題。 自分のOpenAIやAnthropic APIキーを第三者サービスに渡すことになる。キーが悪用されるリスクはゼロではない。ドイツのSEOメディアSEO Sudwestも同様の懸念を指摘している。心配な場合は、FreeSOV専用のAPIキーを発行し、使用上限を設定しておくのが現実的な対策だ。

個人開発プロジェクトである。 ProfoundやOtterly.aiのように資金調達したチームが運営しているわけではない。長期的なメンテナンスや機能追加のペースは不透明だ。

エンタープライズ機能はない。 SOC 2準拠、チーム管理、収益アトリビューションといった機能は存在しない。大企業のマーケティングチームがProfoundに$499/月を払う理由はここにある。

初期セットアップが面倒。 APIキーの取得と設定は、SEOの実務者にとってもやや敷居が高い。DataForSEOアカウントの作成→APIキー取得→FreeSOVに登録→プロンプト設計、というステップを自力でこなす必要がある。

どんな人に向いているか

個人ブロガー、中小企業のSEO担当者、フリーランスのマーケターが最も恩恵を受けるだろう。月額数万円の有料ツールには手が出ないが、「自社がAI検索でどう見えているか」を把握したい層だ。

逆に、すでにProfoundやOtterly.aiを使っている企業が乗り換える理由は薄い。エンタープライズ向けのサポートやコンプライアンスは、無料ツールでは代替できない。

GEO/AIOの分野自体がまだ黎明期で、「そもそもAI検索での可視性を気にすべきか」の議論すら定まっていない段階だ。だが2030年にエージェント経由の買い物が$3,850億規模になるという予測を信じるなら、今のうちにベースラインを計測しておく価値はある。FreeSOVはその第一歩として、ちょうどいいツールだと思う。

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