Antigravity vs Claude Code — 「無料」と「月$20」の間にある、思ったより大きな差
AIコーディングツールに月$20を払う価値はあるのか。
Google I/O 2026で刷新されたAntigravity 2.0は無料で使い始められる。一方のClaude Codeは無料プランがなく、最低でも月$20のProプランが必要だ。機能だけ見れば、Antigravityの方がサーフェスの数もモデルの選択肢も多い。

ところが実際に使い込むと、「無料」の裏側にある制約がじわじわ効いてくる。
無料プランの現実
Antigravityの無料枠はローンチ時こそ魅力的だった。1日250リクエスト、複数のAIモデルにアクセスできて、クレジットカード登録も不要。ところが2025年12月にリクエスト上限が1日20回に削減された。92%のカットだ。
5時間ごとにリフレッシュされるはずだが、ユーザーからは「実際には週に1回しかリセットされない」という報告が上がっている。Google側もインフラ負荷がピーク予測の10倍に達したことを認めており、無料枠の縮小は構造的な問題への対処だったことがわかる。
つまりAntigravityの無料枠は「触って試す」には十分だが、日常的な開発に使うのは現実的ではない。有料プランに移行するとProが$20/月、AI Ultraが$100/月、Ultraが$200/月。結局Claude Codeと同じ価格帯に並ぶ。
Claude Codeには無料枠がない。Pro $20/月、Max 5x $100/月、Max 20x $200/月。潔いと言えば潔い。
速度と品質のトレードオフ
数字だけ見ると、Antigravityが圧倒的に速い。
| Antigravity 2.0 | Claude Code | |
|---|---|---|
| 出力速度 | 289 tok/s | 約67 tok/s |
| コンテキスト窓 | 100万トークン | 20万トークン(API経由で100万) |
| SWE-Bench Pro | 非公開 | 64.3%(トップ) |
| 主要モデル | Gemini 3.5 Flash(12x最適化版) | Claude Opus 4.8 |
Antigravityは約4倍速く、コンテキスト窓は5倍広い。大量のファイルを読み込んで横断的にリファクタリングするような場面では、この差が体感できる。
だがコード品質ではClaude Codeが明確にリードしている。SWE-Bench Proで64.3%はクラスで最高スコアで、複雑なバグ修正やリファクタリングの精度に直結する。速く書けても修正に時間がかかるなら、トータルの生産性は変わらない。
筆者の感覚では、定型的なスキャフォールディングやテスト生成はAntigravityが速くて快適。一方で、既存コードの文脈を深く理解した上での変更はClaude Codeの方が一発で通る確率が高い。
プラットフォームの思想が違う
Antigravity 2.0は5つのサーフェス(デスクトップアプリ、CLI、SDK、Managed Agents API、エンタープライズ)を持つ統合プラットフォームだ。I/Oのデモでは93個のサブエージェントを同時起動してOSのフレームワークを12時間で構築していた。Firebase、Android Studio、Google Cloudとのネイティブ統合もある。
Claude Codeはターミナルファーストだ。デスクトップアプリとVS Code拡張もあるが、本質はCLIツール。ファイルシステムに直接アクセスし、シェルコマンドを実行し、gitを操作する。リモートのコードインデックスは使わない。Opus 4.8で導入されたDynamic Workflowsでは最大1,000のサブエージェント(同時16)を生成できるが、まだリサーチプレビューの段階だ。
端的に言えば、Antigravityは「何でもできるプラットフォーム」を目指していて、Claude Codeは「ターミナルで確実に動くツール」を目指している。
安定性という見えないコスト
ここがAntigravityの最大の弱点だ。
2026年5月のI/O 2026アップデートでAntigravity 2.0に切り替わった際、数千人の開発者がターミナル、ファイルエクスプローラー、コードエディタを失った。エージェント管理プラットフォームへの刷新に伴い、直接コードを編集する機能が消えたのだ。さらに、利用規約内で使っていたにもかかわらずアカウントが停止されたという報告もある。
Claude Codeも完璧ではない。平日のピーク時間帯(太平洋時間5〜11時)にはレート制限が厳しくなり、トークンバケットがClaude.aiのチャットやCoworkと共有されているため、他のClaudeサービスを多用すると容量が減る。
ただ、「突然UIが消える」レベルの破壊的変更はClaude Codeでは起きていない。CLIツールという形態自体が、UIの大幅な変更リスクを回避している面がある。
どちらを選ぶか
| 判断基準 | Antigravity | Claude Code |
|---|---|---|
| まず無料で試したい | ○(制限あり) | ×($20〜) |
| コード品質を最優先 | △ | ◎ |
| 大規模コンテキスト | ◎(100万トークン) | △(20万、API経由で100万) |
| 処理速度重視 | ◎(289 tok/s) | △(67 tok/s) |
| Google Cloud / Firebase連携 | ◎ | × |
| 安定した運用 | △ | ○ |
| 複数モデルを使い分けたい | ◎ | × |
Google ecosystemの中で開発していて、速度とコンテキスト量が必要なら、Antigravityの有料プランは合理的な選択だ。ただし無料枠だけで本格的な開発を回すのは、現状では現実的ではない。
コードの正確さと運用の安定性を最優先にするなら、Claude Codeの$20は安い投資だ。速度は遅いが、「書き直し」の回数が減る分、実質的な開発速度は見た目ほど変わらない。
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