画面録画を放り込むと、台本も「自分の声」のナレーションも付いて返ってくる — Velo 3.0の正体
社内向けの操作説明動画を一本作ったことがある人なら、あの面倒くささを覚えているはずだ。画面を録画して、言い間違えて撮り直して、あとから「えー」「あの」を切って、テロップを足して、BGMを乗せて——2分の動画に平気で1時間が溶ける。だから多くの人が「動画で説明したほうが早いのは分かってるけど、作るのが面倒」で止まる。

Velo は、その「作るのが面倒」の部分をまるごとAIに肩代わりさせるツールだ。2026年7月にProduct Huntで月間トップクラスの注目を集めた Velo 3.0(3回目かつ過去最大のアップデート)で、ようやく「実務で使える」ラインに乗ってきた印象がある。
何をしてくれるのか
使い方はシンプルで、出発点は2つある。ひとつは画面録画。とりあえず操作しながら喋って録るだけでいい。もうひとつはプロンプト。「新機能Xの使い方を90秒で」と書くだけでもいい。
そこから先はVeloの仕事だ。録画やプロンプトを元に台本を書き、それをあなた自身の声で読み上げ(後述の声クローン)、不要な間や言い淀みを削って完成尺のカットまで組み上げる。出てくるのは「素材」ではなく、そのまま共有できる動画である。
Veloが自分たちのことを「AI video infrastructure」——動画を作るための基盤——と呼んでいるのが象徴的で、狙っているのはクリエイティブな作品作りではない。デモ、操作説明、オンボーディング研修、サポートの返信、そしてエージェントのワークフローに動画を差し込む、といった業務の中の動画だ。
「自分の声」で喋らせられる意味
個人的にいちばん効くと思ったのが、VeloTwin と呼ばれる声・アバターのクローン機能だ。一度自分の声を登録しておけば、次からは台本を差し替えるだけで、自分が喋っているナレーション動画が量産できる。
これが地味に大きい。たとえばサポート対応で「この設定、文章だと伝わりにくいな」という場面は多い。そこで毎回録画して喋り直すのはしんどいが、Veloなら要点をテキストで打ち込むだけで、自分の声の解説動画が返信として送れる。文章の返信を動画の返信に置き換えられる、と考えると用途は一気に広がる。
さらにプロンプトから動画を作れるということは、理屈のうえではヘルプ記事やマニュアルのテキストを流し込めば、そのまま解説動画のシリーズになる。ナレーションの声は統一され、担当者が辞めても同じトーンで作り続けられる。ここまで揃うと「動画は撮るもの」から「動画は生成するもの」への切り替えが、社内ドキュメントの領域で現実的になってくる。
料金
無料枠があるので試すハードルは低い。
- Free: 月15分ぶんの生成、アバター動画は月1本、書き出しは透かし入り(透かし除去は$9.99)
- Pro: 月$20(約3,000円)。60分ぶん、透かしなし
- Ultra: 月$200(約3.1万円)。600分ぶん、アバター動画30分、カスタムVeloTwin、台本リトライ10回、リンク→動画が無制限
現実的には、個人や小さなチームがサポート・オンボーディング用途で回すなら Pro で足りる。VeloTwin をフルに使い倒したい、あるいはチームで大量に量産する段階になって初めて Ultra を検討する、という順番だろう。無料枠の15分は「動作を確かめる」ためのもので、実運用には少し足りない。
正直な評価
素直にうまいと思うのは、録画とプロンプトの両対応にした設計だ。「AIが全部作る」系のツールは、細かい指定ができず思ったものにならないことが多い。一方で完全手動は面倒。Veloは「まず雑に録画 → AIが整える」という折衷を取ったことで、既存のLoom(撮って共有するだけ)とSynthesia(テキストからアバター動画)の中間に、ちょうど空いていた席に座った格好だ。
一方で懸念もある。声クローンは便利な反面、自分の声で意図しない内容を喋らせられるリスクと隣り合わせで、社内利用のルール整備は要る。それと、台本の自動生成はあくまで叩き台で、専門用語や社内固有の言い回しはどうしても手直しが必要になる。Ultraの「台本リトライ10回」という制限が、逆に「そう何度もやり直せるものではない」現実を物語っている気もする。
とはいえ、「動画で説明したいのに作るのが面倒」で止まっていた人にとって、Velo 3.0 はその言い訳を一個潰してくる。まずは無料枠で、いつも文章で返している説明を一本、自分の声の動画に置き換えてみるのがいい。効くかどうかは、そこで分かる。
公式サイトは Velo から確認できる。
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