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AIに動画を編集させても、タイムラインはちゃんと残る — ChatCutが選んだ「中間」の賢さ

AI動画編集ツールを試したことがある人なら、たぶん一度は同じ壁にぶつかっている。「AIがそれっぽく仕上げてくれる。でも、そこから先を自分でいじれない」——これだ。

多くのAI動画ツールは、素材を放り込むと完成品を出してくれる。ただし出てくるのはロック済みのテンプレートで、「このカットだけ0.5秒詰めたい」「ここのテロップの位置を変えたい」といった細かい調整ができない。結局、本気の編集はPremiereやDaVinci Resolveに戻ってやり直し——という二度手間が定番だった。

7月10日にProduct Huntのデイリーで1位を取ったChatCutは、この「AIか、手動編集か」の二択に「中間」を持ち込もうとしている。

ChatCut

プロンプトで編集し、結果はタイムラインに残る

ChatCutの基本は、プロンプトで動画を編集するAIエディタだ。ここまでは他のツールと変わらない。

違うのは、AIが加えた編集がすべて本物のタイムラインの上に、編集可能な状態で残るという点だ。

「不要な間を詰めて」「字幕を付けて」「ここにB-rollを足して」とプロンプトで指示すると、ChatCutは素材を整理し、最初のカットを作り、テロップやB-roll、モーショングラフィックス、ストック映像、AI生成動画まで一気に載せる。でもそれは完成品ではなく、あくまで「AIが組んだ編集途中のプロジェクト」。カットの尺も、テロップの位置も、後から手で微調整できる。

そしてXMLで書き出せる。つまりChatCutで大枠を組んで、仕上げをPremiereやDaVinciで——という流れが成立する。ここが地味に効くところで、「AIツールで作ったものは、そのAIツールの中でしか直せない」という囲い込みから抜けている。

ChatGPTやCodexの中からも呼べる

もう一つの特徴が、動作環境の広さだ。ChatCutはデスクトップアプリ、Web、そしてChatGPTのプラグインとして使える。7月にはCodex向けのプラグインも出た。

Codexプラグインというのは、開発者がCodexのチャットから離れずに、フル機能の動画エディタを呼べるという話。エンジニアがプロダクトのデモ動画やリリース告知を、コードを書いている画面からそのまま作れる、という文脈だ。正直、動画編集とコーディング環境が地続きになる状況は今までなかったので、これは面白い方向性だと思う。

料金

ChatCutには無料枠がある。カード登録なしで25クレジットの「お試し」が使える。

有料は公開情報だと2段階。

プラン 月額 クレジット
無料 $0 25(お試し・カード不要)
有料(下位) $25(約3,900円) 毎月100
有料(上位) $100(約15,600円) 毎月400

クレジット制なので、どれだけ編集アクションを回すかで実質コストが変わる。まず無料枠で「自分の使い方だと1本あたり何クレジット消えるか」を掴んでから有料に進むのが安全だろう。

これで何が変わるか

機能の説明だけだと「便利なAI編集ツールが一つ増えた」で終わってしまうので、ChatCutの構造が実際に何を可能にするかを考えてみる。

ラフ編集の外注が要らなくなる可能性。 これまで、素材を渡して「とりあえず繋いでテロップ入れて」という一次編集を外注していた人は少なくない。ChatCutがこの一次編集をプロンプトで済ませ、しかもタイムラインで残してくれるなら、外注していた部分を自分で巻き取れる。仕上げだけプロに頼む、という分業に組み替えられる。

「量産系」のコンテンツと相性がいい。 同じフォーマットの動画を毎週何本も出すSNS運用やYouTube運用では、編集の8割が定型作業だ。プロンプトで定型部分を一気に組み、残りの2割だけタイムラインで手直しする——この回し方ができれば、制作本数を落とさずに一本あたりの時間を削れる。

開発者のプロダクト動画。 Codexプラグイン経由なら、機能をリリースした流れでそのままデモ動画を作れる。これまで「動画は面倒だから後回し」になっていたエンジニアが、リリースノートと同じ温度感で動画を出せるようになるかもしれない。ここは「揃えば」の話だが、実現したら開発者マーケティングの手触りが変わる。

正直な評価

方向性は好きだ。「AIで速く、でも編集の自由は手放さない」という設計思想は、実際の制作者が抱える不満を正確に突いている。ロック型テンプレートに戻れなくなった人には刺さると思う。

ただ、割り引くべき点もある。まず、プロンプト編集の精度は動画の内容に大きく左右される。「不要な間を詰めて」がどこまで意図通りに効くかは、素材次第でブレるはずだ。次にクレジット制。編集を試行錯誤するほどクレジットを消費するので、「AIに何度も直させる」使い方をすると、体感コストは表の数字より重くなる可能性がある。

そしてこれは競合全体に言えることだが、CapCutやRunway、Descriptといった強者がひしめく市場だ。ChatCutの「編集可能なタイムラインが残る」という差別化が、実運用でどれだけ効くかは、もう少し使い込まないと断言できない。現時点の評価は「発想は鋭い、実力は要検証」というところだ。

とはいえ、AI動画編集の評価軸が「どれだけ自動で作れるか」から「作った後どれだけ自分でいじれるか」に移りつつあるのは間違いない。ChatCutはその流れの先頭で手を挙げたツールとして、追いかける価値がある。同カテゴリの他ツールと迷っているなら、AI動画編集ツールの比較記事も合わせて読んでほしい。

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