ワープロをゼロから作り直したら、AIが「共同編集者」になった — Reviseという実験
Google DocsにAIプラグインを足せば、それでいいのではないか?
多くの人がそう考えるだろう。しかしReviseの開発者は違う道を選んだ。AIとの協業を前提に、ワードプロセッサエンジンそのものをゼロから設計し直したのだ。
なぜエンジンから作り直すのか
Reviseの核心は、エンジンとレンダリングレイヤーをスクラッチで構築している点にある。サードパーティライブラリはリアルタイムコラボレーション用のY.js(CRDTスタック)のみ。
この設計の狙いは変更追跡だ。Google DocsにChatGPTの拡張を入れた場合、AIの出力はペーストに近い扱いになり、差分が見えない。Reviseでは、AIによる編集も人間の編集と同じ粒度でTrack Changesに反映される。書き換えた箇所をハイライトし、1つずつ承認・却下できる。
マルチモデルで使い分ける
GPT-5.5、Claude、Grok、Geminiに対応しており、エディタ内でモデルを切り替えられる。AIは「エージェント」として動き、草稿・編集・校正・リサーチを文脈を理解した上で実行する。入力中のリアルタイム校正にも対応している。
ファイル互換性も実用的で、DOCX・PDF・Markdownのインポート、DOCX・PDFへのエクスポートに対応。OCRによるスキャン文書の取り込みもできる。UIはGoogle Docsに近い操作感だ。
料金と正直な評価
無料プランでエディタの全機能が使え、AIには日次の使用上限がある。有料プラン(Plus・Pro)でAI使用量が増える仕組みだ。
気になる点もある。開発開始から約10ヶ月の若いプロジェクトであり、Google DocsやWordが長年磨いてきた互換性の蓄積にはまだ距離がある。Hacker Newsでも「Claudeに直接コピペすれば十分では」という声があり、変更追跡にどれだけ価値を感じるかが分かれ目になるだろう。
とはいえ「AIの編集を1つずつレビューしたい」というニーズに正面から応えるツールは少ない。AIエディタが乱立する中、ワープロエンジンから作り直すという賭けに出た点は注目に値する。