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Perplexity Computer for Taxes — AIエージェントが確定申告書を「下書き」する時代

AIが検索の次に狙ったのは、税金だった。

2026年4月7日、PerplexityはComputer for Taxesを発表した。AIエージェント「Perplexity Computer」の新機能で、米国連邦税の確定申告書をIRSの公式フォーマットで自動ドラフトする。Proプラン(月額$17、約2,600円)で利用可能。

これは単なるチャットボットではない。書類をアップロードすると、AIが内容を読み取り、質問を投げかけ、IRSの正式な様式に沿って申告書を作成する。税理士が作った申告書を監査して、ミスや見落としを指摘することもできる。

米国では今年、労働者の25%が「AIを使って確定申告をする」と回答している。昨年の11%から倍増した。この流れの中にPerplexityが飛び込んだ。

何ができるのか

Computer for Taxesの機能は、大きく3つに分かれる。

1. 申告書のドラフト作成

W-2やスケジュールC、投資収益の書類をアップロードすると、Computerがそれらを読み取り、必要に応じてフォローアップの質問をする。「扶養家族は?」「住宅ローン控除の対象?」といった確認を経て、IRSの公式フォームに直接マッピングされた申告書を出力する。

ポイントは、チャットで「税金について教えて」と聞くのとは根本的に違うということ。Computerは実際にフォームを生成し、数値を入力し、書類として完成させる。

2. 既存の申告書の監査

税理士やTurboTaxで作成済みの申告書をアップロードすると、Computerがエラーチェックと最適化を行う。見落とされた控除を指摘し、計算ミスを検出する。プロの仕事をAIがセカンドオピニオンする、という使い方だ。

3. カスタムダッシュボードの構築

ここが面白い。減価償却の追跡、ストックオプションの行使シミュレーション、賃貸ポートフォリオのパッシブロス管理——こうした複雑なシナリオに対して、Computerが専用のダッシュボードやツールをその場で構築する。

単に申告書を作るだけでなく、税務戦略を立てるための分析環境まで作ってしまう。

Agent Skillsという設計思想

技術的に注目すべきなのは、Agent Skillsプロトコルの活用だ。税制知識が「ロード可能なモジュール」としてパッケージ化されており、IRS規則やレギュレーションに基づいて継続的に更新される。

LLMのトレーニングデータに含まれる古い税制情報に頼るのではなく、最新のIRS規則をリアルタイムで参照する設計になっている。税法は毎年変わるので、この仕組みは合理的だ。

日本のユーザーにとっての意味

正直に言えば、Computer for Taxesは現時点でUS連邦税のみに対応しており、日本の確定申告には使えない。日本の税制に対応する予定も発表されていない。

それでも、この発表を無視すべきではないと思う。理由は二つある。

一つは、AIエージェントが「ドキュメント処理→フォーム入力→監査→分析」という一連の業務フローを自律的にこなすプロダクトが、$17/月で出てきたという事実。TurboTaxの有料プランは$89〜219。10分の1以下のコストで、同等以上の機能を提供しようとしている。

もう一つは、Perplexityが「AI検索」から「AIエージェントプラットフォーム」へと明確にピボットしていること。検索エンジンの会社が確定申告を手がけるのは一見突飛に見えるが、Perplexity Computerの設計思想——情報を検索するのではなく、情報を使って作業を完了する——の延長線上にある。

日本でも、freeeやマネーフォワードがAI申告書作成に取り組んでいるが、Perplexityのアプローチはそれとは次元が違う。既存の会計ソフトがUIの中にAIを足しているのに対し、Perplexityはエージェントがゼロからワークフロー全体を組み立てる。

TurboTaxを置き換えるのか

おそらく今年は、まだ無理だ。税務の世界は間違いが許されない。AIが作った申告書を最終チェックなしに提出する人は少ないだろうし、Perplexityも「診断や処置の代替ではない」と明言している。

ただ、方向性は明確だ。来年、再来年にはComputer for Taxesの精度と対応範囲が上がり、「まずAIに下書きさせて、人間が確認する」というワークフローが標準になる可能性は高い。確定申告だけでなく、法務文書、保険請求、各種行政手続き——AIエージェントが「書類仕事」を片付ける未来のプロトタイプが、ここにある。

Perplexity(公式サイト)

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