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LangGraph vs CrewAI vs Mastra 比較【2026年版】AIエージェントフレームワーク3強の選び方

AIエージェントを本番投入する開発者が増えている。だがフレームワークの選定で迷う人も多い。2026年時点の主要3フレームワーク — LangGraph、CrewAI、Mastra — は、設計思想もメイン言語もまるで違う。

筆者は3つとも実際にエージェントを組んで動かし、それぞれの癖を確認した。結論を先に言う。

ワークフローの分岐・ループを細かく制御したいならLangGraph。チーム風の役割分担で素早くPoCを回したいならCrewAI。TypeScriptで統一したいならMastra。 「どれが最強か」ではなく、自分のスタックと開発フェーズで決まる。

比較表:LangGraph vs CrewAI vs Mastra

比較軸 LangGraph CrewAI Mastra
設計思想 グラフベース。ノードとエッジで明示的にフローを定義 ロールベース。エージェントに役割・目標を与えてチーム編成 ワークフロー+エージェント。.then() .branch() で直感的に記述
メイン言語 Python(JS版あり) Python TypeScript
GitHub Stars 34,000+ 47,800+ 24,800+
ライセンス MIT MIT Apache 2.0(コア)
MCP対応 コミュニティ経由 ネイティブ対応 ネイティブ対応
メモリ チェックポイント(状態永続化) ビルトインメモリ(セマンティック) ビルトインメモリ
モデル非依存 あり(任意LLM) あり(任意LLM) あり(40+プロバイダー)
商用プラン LangSmith Plus $39/席/月〜 Pro $25/月〜 / Enterprise要問合 クラウド版は近日公開
おすすめな人 複雑な状態管理が必要なバックエンドエンジニア PoCを高速に回したいチーム TypeScript統一のフルスタック開発者

※価格は2026年6月7日時点。3フレームワークともコアはOSS(MIT)で無料。商用プランはデプロイ・可観測性等の付加価値サービス。

各フレームワークの公式リポジトリで最新情報を確認できる → LangGraphCrewAIMastra

LangGraph — 「状態マシンでエージェントを設計する」

LangGraphはLangChain開発チームによるグラフベースのオーケストレーションフレームワークだ。エージェントのワークフローをノード(処理単位)とエッジ(遷移条件)の有向グラフで定義する。

最大の強み: チェックポイントと状態管理。 ワークフローの任意の時点で状態を保存し、障害時に途中から再開できる。長時間実行されるエージェントや、ヒューマン・イン・ザ・ループ(人間の承認を待つフロー)を組む場面では、他の2つより頭一つ抜けている。

LangSmithとの統合による可観測性も実務では重要だ。各ノードでのLLM呼び出し、トークン消費、レイテンシがトレース単位で可視化される。本番環境でエージェントが「なぜこの判断をしたか」を追跡できる。

弱点は学習コスト。 グラフの概念に馴染みがないと、最初の1エージェントを動かすまでに時間がかかる。CrewAIの「役割と目標を書くだけ」と比べると、明らかにボイラープレートが多い。正直、最初に触ったときは「PoCにこのコード量は重い」と感じた。

ただ、そのコード量は制御の精度と引き換えだ。条件分岐、ループ、リトライ、並列実行の全てを明示的に書けるので、「エージェントが勝手に暴走する」リスクが低い。本番で動かすなら、この明示性は安心材料になる。

LangGraphのコスト

コアはMITライセンスで無料。LangGraph Platform(マネージドデプロイ)はノード実行あたり$0.001で、最初の10万ノード実行は無料。LangSmith(可観測性)はDeveloper無料、Plus $39/席/月。LLM API費用は別途かかる。

CrewAI — 「役割を振ったら、あとは任せる」

CrewAIはロールベースのマルチエージェントフレームワークで、GitHubスター47,800超と3つの中で最大のコミュニティを持つ。設計の核心は「Crew」という概念だ。エージェントに役割(Role)、目標(Goal)、背景(Backstory)を与え、タスクを割り当ててチーム編成する。

最大の強み: 立ち上がりの速さ。 インストールから最初のマルチエージェントフローが動くまで、約10分。ロールベースのDSLは直感的で、「リサーチャーが調査→アナリストが分析→ライターが執筆」というパイプラインをコード20行で組める。

MCP対応もネイティブに組み込まれており、外部ツールとの接続でフレームワーク固有のアダプタを書く必要がない。A2Aプロトコルにも対応しているので、エージェント間通信の選択肢も広い。

弱点はトークン消費。 CrewAIはエージェント間で多段検証を行うため、LangGraphと同じタスクを実行するとトークンを約3倍消費するという報告がある。長期運用ではLLM APIコストが嵩む可能性がある。

もう一つ気になるのは、エージェントの挙動が予測しづらいことだ。ロールと目標を定義しても、エージェントが意図通りに動くかは「やってみないとわからない」面がある。LangGraphのようにフローを明示的に定義するわけではないので、デバッグに時間がかかることがあった。

CrewAIのコスト

コアフレームワークはMITで無料。クラウドプラットフォームはFree(50実行/月)、Pro $25/月(100実行)、さらにStarter $29/月(1,000実行)、Professional $99/月(5,000実行)のプランもある。Enterprise(30,000+実行/月)はカスタム価格。

Mastra — 「TypeScript勢の待望の本命」

Mastraは、Gatsbyの開発チームが立ち上げたTypeScriptファーストのAIエージェントフレームワークだ。2026年4月に$22MのシリーズAを調達し、GitHubスター24,800超、npm月間180万ダウンロード超と急成長している。

最大の強み: TypeScriptネイティブ。 ツールの入力、状態、ストリームイベントが全て強く型付けされている。Python系フレームワークでありがちな「ランタイムで型エラーが出て30分溶ける」がない。Next.jsとの統合も自然で、フロントエンドからバックエンドまでTypeScriptで統一したいチームにはこれ以上ない選択肢だ。

ワークフロー記法も特徴的で、.then().branch().parallel() というメソッドチェーンで制御フローを記述する。LangGraphのグラフ定義よりもJavaScript/TypeScript開発者には馴染みやすい。

Mastra Studioというローカル開発用のWebベースIDEも付属しており、エージェントのツール呼び出しやLLMの推論過程をリアルタイムで可視化・デバッグできる。

弱点はエコシステムの若さ。 LangGraph(LangChainの資産)やCrewAI(47k+スターのコミュニティ)と比べると、プラグインや事例の蓄積はまだ薄い。「○○をMastraで実装した」という日本語の記事も少なく、ハマったときの情報源が限られる。

クラウドプラットフォームの料金体系もまだ正式発表されていない(2026年Q1公開予定だったが延期中)。セルフホストなら無料だが、マネージドで使いたい場合は要注意だ。

多くの記事が見落としている「言語の壁」

比較記事の多くは機能や設計思想を並べるが、実務で最も影響が大きいのは言語の選択だと思っている。

LangGraphとCrewAIはPythonが前提だ。Python以外のバックエンド(Node.js、Deno、Bun)を使っているチームがこれらを導入すると、「エージェント部分だけPython」という二重スタックになる。それ自体は技術的に可能だが、CI/CD、テスト、デプロイのパイプラインが複雑になる。

MastraはTypeScript一本で済む。特にVercel/Next.jsでプロダクトを構築しているチームにとっては、フレームワークの技術的な優劣以上に「同じ言語で書ける」メリットが大きい。

逆に、データサイエンスやML寄りのチームではPythonエコシステム(pandas、scikit-learn等)との親和性からLangGraph/CrewAIが自然な選択になる。フレームワークの良し悪しではなく、チームの技術スタックで決まる部分が大きい。

選び方ガイド

LangGraphを選ぶべき場面

  • ワークフローに複雑な分岐・ループ・人間の承認ステップがある
  • 長時間実行のエージェントで障害復旧が必要
  • LangSmithでの可観測性・デバッグを重視
  • 「エージェントの挙動を完全に制御したい」派

CrewAIを選ぶべき場面

  • PoCを最速で動かしたい(10分で最初のフロー)
  • 「リサーチャー→分析→ライター」のようなパイプラインが自然にイメージできるタスク
  • コミュニティの大きさ・事例の多さを重視
  • MCP/A2A対応の広さを活かしたい

Mastraを選ぶべき場面

  • バックエンドがTypeScript/Node.js/Next.js
  • 型安全性を妥協したくない
  • フロントエンドとエージェントを同じコードベースで管理したい
  • Mastra Studioでの開発体験を重視

よくある移行パターン

実務で多いのは「CrewAIでPoCを作り、本番投入時にLangGraphに移行する」というパスだ。CrewAIの立ち上がり速度でコンセプトを検証し、制御の精度が求められる段階でLangGraphに書き換える。これ自体は合理的だが、フレームワーク間でコードの互換性はないので「書き直し」になる点は覚悟が要る。

Mastraを選んだ場合、この移行問題は起きにくい。TypeScriptのプロダクトコードの中にエージェントを組み込む形になるため、「エージェント部分だけ別フレームワーク」にならない。

LangGraphを試すCrewAIを試すMastraを試す

まとめ

3つのフレームワークは競合というより、異なるニーズに応えている。LangGraphは「制御」、CrewAIは「速度」、Mastraは「TypeScript統合」に最適化されている。

どれを選んでもコアは無料のOSSなので、迷ったらまず自分の言語(Python or TypeScript)で1つ触ってみるのが早い。本番投入を見据えるなら、チェックポイント・可観測性・トークンコストの3点を比較基準にすると判断がブレにくい。

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