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開発者の74%がAIコーディングツールを使っている — JetBrains 1万人調査で見えた勢力図

「結局、開発者はどのAIツールを使っているのか?」

この問いにデータで答えてくれる調査が、2026年4月にJetBrainsのリサーチチームから公開された。Which AI Coding Tools Do Developers Actually Use at Work?というタイトルのレポートで、対象は1万人以上のプロの開発者。8言語にローカライズされた調査で、2026年1月時点のスナップショットだ。

自社製品を持つJetBrainsが出す調査だから、当然バイアスへの警戒は必要だ。ただ、サンプル数の大きさと経年データの蓄積は他に類を見ない。X上でもかなりの反応があり、特にClaude Codeの躍進を示す数字がバズっていた。

数字を一つずつ見ていく。

74%がAI採用済み。「使わない」はもう少数派

2026年1月時点で、開発者の74%が業務で何らかのAIコーディングツールを定常的に使っている

この数字をどう見るかはポジション次第だが、筆者の感想は「まだ26%も使っていない人がいるのか」だ。少なくとも英語圏のテック企業やスタートアップでは、AIを使わずにコードを書く方がむしろ珍しい状況になっている。

逆に言えば、26%の「非採用層」がどこにいるのかに興味がある。おそらくセキュリティポリシーが厳しい大企業、レガシーシステムのメンテナンス担当、あるいは単に「今のワークフローで困っていない」ベテラン層だろう。この26%が動くタイミングが、次の成長フェーズになる。

GitHub Copilotは首位だが、成長が止まった

認知度76%、業務利用率29%。GitHub Copilotが依然としてトップであることに疑いの余地はない。

しかしレポートが指摘するのは、認知度・利用率ともに前年から横ばいだという事実だ。Copilotは「知っている人はもう全員知っている」フェーズに入った。新規ユーザーの獲得ペースは明らかに鈍化している。

弊サイトでもGitHub Copilotの料金変更データトレーニングのオプトアウト問題を取り上げてきたが、最近のCopilotに対する空気感は「デファクトだけど特別ではない」というものに変わりつつある。GitHub自体のエコシステムに組み込まれているから使う、という消極的選択も相当あるはずだ。

Claude Codeが半年で利用率6倍。満足度も市場最高

今回の調査で最もインパクトのある数字はこれだ。

Claude Codeの業務利用率が18%。Cursorと並んで2位タイ。そして2025年4〜6月の約3%から、わずか半年で6倍に跳ね上がっている。

認知度も急上昇している。2025年4〜6月に31%だったのが、9月に49%、2026年1月には57%。半年で認知度がほぼ倍増した計算だ。

さらに目を引くのが満足度指標。CSAT(顧客満足度)91%、NPS(推奨度)54。どちらも調査対象ツールの中で最高値だ。

筆者自身もClaude Codeを日常的に使っているので、この数字には納得感がある。ターミナルベースのインターフェースは最初こそ取っつきにくいが、慣れると他のツールに戻れなくなる中毒性がある。特に大規模なリファクタリングやコードベース全体の理解が必要なタスクでは、Claude Codeの「会話しながらコードを直す」体験が圧倒的に効率がいい。弊サイトではClaude Codeのサブエージェント機能Auto Modeについても取り上げている。

ただし、NPS 54という数字は「使っている人は大好き」であって「万人向け」ではないことも意味する。CLI操作に抵抗がある人や、IDEを離れたくない人にとっては、依然としてCursorの方が自然な選択だろう。

Cursorは18%で2位タイ。IDEの強みは健在

Cursorは利用率18%でClaude Codeと並ぶ2位。VS Codeベースの操作感をそのまま活かせるのが最大の強みで、IDE派の開発者にとっては依然として有力な選択肢だ。

Cursor 3.1で導入されたタイルレイアウトやエージェントウィンドウなど、UIの進化も目覚ましい。特に複数のエージェントを並列で走らせる体験は、今のところCursorが最も洗練されている。

Google Antigravityが6%で早くも存在感

2025年11月にローンチしたばかりのGoogle Antigravityが、わずか2ヶ月で利用率6%に到達している。GoogleのAI基盤(Geminiモデル群)と直結している強みは大きく、今後の成長が読みにくい存在だ。

JetBrains AI Assistant(9%)やJunie(5%)も含めると、IDEベンダーが自社AIを組み込む流れは加速している。「どのエディタを使うか」と「どのAIを使うか」が、同じ意思決定に統合されつつある。

この数字から読み取れること

データを俯瞰して見えるのは、AIコーディングツール市場が**「一強」から「三つ巴+α」に移行した**ということだ。

Copilotが29%で首位ながら成長停滞。Claude CodeとCursorが18%で急追。そしてGoogle AntigravityやJetBrains Junieといった新勢力がじわじわ食い込んでいる。

これは開発者にとっては良いニュースだ。競争が激しいほど、ツールの質は上がり、価格は下がる。実際、OpenAI Codexの従量課金化Cursorの料金体系見直しなど、価格面での動きも活発になっている。

一方で、「結局どれを使えばいいのか」という悩みは深まる一方だろう。筆者の整理はこうだ。

  • IDE統合を重視する人 → Cursor or JetBrains + Junie
  • ターミナル中心の開発者 → Claude Code
  • GitHubエコシステムにどっぷりの人 → GitHub Copilot
  • Googleのモデルを試したい人 → Antigravity

ただし、この勢力図は半年後にはまた変わっているだろう。弊サイトではAIコーディングツールの収斂トレンドについても分析しているが、各ツールの境界はどんどん曖昧になっている。

JetBrainsの調査は、そうした「今この瞬間」のスナップショットとして価値がある。次の調査が出る頃には、またまったく違う絵が見えているはずだ。

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