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あなたの生活を丸ごと記憶するAI — Figure AI創業者の新会社Harkが1,000億円を調達

ロボット、空飛ぶタクシー、そしてAI。Brett Adcockという起業家は、SFのような事業を立ち上げては巨額の資金を集めてきた。

2020年に共同創業したArcher Aviationは電動垂直離着陸機(eVTOL)で上場を果たした。2022年に立ち上げたFigure AIは人型ロボット企業として評価額390億ドルに達し、OpenAIやNVIDIAから出資を受けている。そして2025年末、Adcockは個人資産1億ドルを投じて3社目を立ち上げた。

Hark。デジタル世界との「ユニバーサルインターフェース」を標榜する、45人のAIラボだ。

5月21日、HarkはシリーズAで7億ドル(約1,020億円)を調達したと発表した。評価額は60億ドル(約8,700億円)。シリーズAとしては2026年でも最大級の規模になる。

半導体の巨人たちが名を連ねた投資家リスト

ラウンドをリードしたのはParkway Venture Capital。注目すべきは参加した戦略的投資家の顔ぶれだ。

NVIDIA、AMD Ventures、Intel Capital、Qualcomm Ventures。半導体業界のライバル4社が同時に1つのスタートアップに出資するのは珍しい。さらにSalesforce Ventures、ARK Invest、Brookfieldも加わっている。

この投資家構成が示唆しているのは、Harkが単なるソフトウェア企業ではないということだ。独自のAIハードウェアを開発する計画があり、それが半導体メーカーの関心を集めた — というのが自然な読み筋になる。

見えている部分、見えていない部分

正直に言えば、Harkの製品は現時点でほとんど公開されていない。分かっていることを整理する。

分かっていること:

Harkはマルチモーダルなエンドツーエンドモデルを開発しており、ハードウェアとインターフェースを一体設計する方針を掲げている。ユーザーの生活を「持続的に記憶」し、音声・視覚・テキストをリアルタイムで処理する。既存のアプリやサービスと連携しながら、プロアクティブに動作するパーソナルAIを目指している。

AIモデルは2026年夏にリリース予定。ハードウェアデバイスはその後に続く。

チームの構成:

45人のエンジニアとデザイナーで構成され、元Meta AIの研究者、Appleの元デザイナー、Teslaの元エンジニアが含まれる。Figure AIと同じキャンパスで開発が進んでいるとされる。

分かっていないこと:

ハードウェアの形状、価格帯、具体的なAIモデルの性能、そしてプラットフォームとして何ができるのかの詳細。つまり、最も重要な部分がまだベールの中にある。

「ユニバーサルインターフェース」は何を意味するのか

Harkが掲げる「ユニバーサルインターフェース」というコンセプトは、スマートフォンに代わる次のコンピューティングデバイスを作るという宣言に等しい。

いまのAIアシスタント — Gemini Spark、Siri、Alexa — は既存のデバイスの上で動いている。Harkのアプローチは、AIのために最適化されたハードウェアを最初から設計し、ソフトウェアとの一体体験を実現するというものだ。

この路線で先行した企業はすでにある。Rabbit R1はローンチ後に「スマホアプリで十分だった」と評され、Humane AI Pinは返品率の高さで話題になった。どちらもAIハードウェアの難しさを証明してしまった。

Harkがこの轍を踏まないという保証はない。だが、Adcockの過去の実績 — 2社を創業し、どちらも大規模な事業に育てた — は、少なくとも「プロトタイプだけ作って終わる」タイプの起業家ではないことを示している。

8,700億円の期待値をどう見るか

製品がないのに評価額8,700億円。この数字を見て「異常だ」と感じるのは自然な反応だと思う。

しかし2026年のAI市場では、この規模の「ビジョン投資」は珍しくなくなった。Anthropicは評価額9,000億ドル超えの資金調達を進めており、Cognitionは売上13倍でも評価額260億ドルだ。投資家が見ているのは現在の製品ではなく、AIハードウェアという次の巨大市場を誰が取るかというレースのスタートラインだ。

半導体4社の同時出資は、そのレースにおけるHarkの位置づけを端的に表している。

夏のモデルリリースで何が見えてくるか。製品が公開された時点で改めて詳しくレビューしたい。

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