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Copilotの半額でWordにAIが入る — xAI Grokアドインの実力と限界

Microsoft Wordの中で使えるAIといえば、Copilotだった。月額30ドル(約4,500円)を払えば、文章の要約や下書き生成をWord内でやってくれる。便利だが、高い。

6月18日、xAIがその牙城に割り込んできた。Grok for Word——Microsoft 365のアドインストアからワンクリックでインストールでき、Wordのリボンにそのまま常駐する。しかも有料プランは月9.99ドル(約1,500円)から。Copilotの3分の1だ。

Wordの横にGrokが住みつく

インストールすると、Word画面の右側にGrokのサイドパネルが開く。Copilotのように文書内に直接埋め込まれるのではなく、隣に「もう一人の編集者」が座っている感覚に近い。

できることは大きく3つ。

文書の下書き生成。 ラフなメモや箇条書きを渡して「レポートにして」と頼めば、構造化された文書をWord上に直接出力する。別ウィンドウにコピー&ペーストする必要はない。

スタイル・文法の修正。 文章のトーンを変えたり、冗長な表現を削ったり、言い回しをシンプルにしたり。選択した範囲に対してピンポイントで指示できる。

リアルタイムWeb検索。 ここがCopilotとの最大の違いかもしれない。Grokはサイドパネルから直接Webを検索し、X(旧Twitter)のポストも含めた最新情報を引っ張ってこられる。レポートを書きながら「この数字の最新ソースを探して」と頼むと、Wordから一歩も出ずに済む。

加えて、文書内でダイアグラムを生成する機能もある。フローチャートや構成図を「描いて」と言えば、その場で図を作ってくれる。Copilotにはない芸当だ。

料金: 無料プランあり、フルは月1,500円から

Grok for Wordアドイン自体は無料でインストールできる。ただしGrokの利用にはxAIアカウントが必要で、プランによって使える範囲が変わる。

プラン 月額 Word内でできること
無料 0円 1日の回数制限あり。基本的な文章生成と検索
Premium 約1,500円($9.99) 回数無制限。ダイアグラム生成、リアルタイムWeb検索
SuperGrok 約4,500円($30) 高度な推論、長い文書の一括処理

比較対象のMicrosoft 365 Copilotは月30ドル(約4,500円)。機能差を考えると単純比較はできないが、「Wordの中でAIに手伝ってほしい」という目的だけなら、Grokの方が財布に優しい。

Copilotとの違いを整理する

正直に言えば、両者は得意分野が違う。

Copilotの強みはMicrosoft 365との深い統合だ。Outlook、Teams、Excel、PowerPointと横断的につながっていて、「先週のメールを要約してWordにまとめて」のような、アプリをまたぐ操作ができる。エンタープライズ向けのセキュリティやコンプライアンス機能も成熟している。

Grokの強みはリアルタイム性と価格だ。Xのデータを含むWeb検索を文書作成中にそのまま使えるのは、調査系の文書を書く人にとって地味に大きい。ダイアグラム生成もCopilotにはない独自機能だし、何より半額以下で始められる。

一方、Grokには弱点もある。サードパーティのアドインという立場上、Copilotほど文書内にシームレスには溶け込めない。Copilotが文書の中から直接操作できるのに対し、Grokはサイドパネル越しのやり取りになる。また、xAI自身が認めている通り、クリエイティブライティング——小説的な文章や感情豊かな表現——はGrokの得意分野ではない。事実ベースの文書向きだ。

ハルシネーション(AIの事実誤認)も注意が必要で、ニッチなトピックでは未検証の情報をさも確認済みかのように出すことがあるとユーザーから報告されている。Web検索機能があるぶん「ソース付きで正確」という期待を持ちやすいが、出力の裏取りは省略しないほうがいい。

誰が使うべきか

すでにMicrosoft 365 Copilotを契約していて、Teams連携やOutlookとの横断機能をフル活用しているなら、あえてGrokに乗り換える理由は薄い。

逆に、こんな人にはGrokアドインが刺さる。

  • Copilotの月4,500円は高いと感じている個人ユーザー。 月1,500円で「Word内AI」が手に入るのは素直にありがたい
  • 調査レポートや市場分析をWordで書く人。 リアルタイムWeb検索をWordから離れずに使えるのは作業効率に直結する
  • 図解を多用する資料を作る人。 ダイアグラム生成はVisioやFigmaを開く手間を省ける

Microsoftが「自社製品内の競合AI」を許容した意味

地味に面白いのは、MicrosoftがGrokをアドインストアで配布することを認めている点だ。自社のCopilotと競合するAIが、自社のWord内で動く。

これはMicrosoftがOfficeを「プラットフォーム」として捉えている証拠でもある。App Storeと同じ発想で、ユーザーが好きなAIを選べる環境を整えたほうが、Office自体のエコシステムは強くなる。4月にはElon Muskが Excel・Word・PowerPoint向けGrokプラグインをデモし、5月に全ユーザーに展開、6月18日にMicrosoft公式ストアへの掲載が完了した。

xAI側にとっても、7億人以上が使うMicrosoft 365にGrokの入口を確保できたのは大きい。チャットボットの画面を離れて、ユーザーが実際に仕事をしている場所——ドキュメントエディタ——に入り込む。この「作業場所への浸透」戦略は、AIツールの次のフェーズを象徴している。

Grokアドインは、WordにおけるAIの選択肢がようやく1つではなくなったことを示している。それだけでも、試してみる価値はある。

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