Cursorの「寝ている間に仕事が終わる」が冗談じゃなくなってきた — Automations、Agents Windowに統合
コードレビュー、Slackの問い合わせ対応、週次のメトリクス集計。どれも「やらなきゃいけないけど、人間がやる必要があるのか?」と思う仕事だ。
Cursorは3月にそれらを自動化する「Automations」をローンチしたが、あの時点ではまだ「別画面で動く別機能」だった。5月20日のアップデートで、それがAgents Windowの中に入った。ふだんのコーディングと同じ場所で、自動化エージェントを作って管理できるようになったのだ。
Agents Windowの中にAutomationsが来た意味
CursorのAgents Windowは、複数のAIエージェントを並列で動かすためのインターフェースだ。タイル表示で複数チャットを並べたり、バックグラウンドでタスクを走らせたりする。
これまでAutomationsは、cursor.com/automationsという別のWebページで管理する必要があった。自動化の設定がIDEの外にあるのは地味に不便で、「今どの自動化が走っているのか」を確認するためにブラウザとIDEを行き来していた。
今回の統合で、Agents Window内でAutomationの作成・管理・実行状況の確認がすべて完結する。コーディング中に「このリポジトリにPRレビューの自動化を足そう」と思ったら、その場で設定できる。
マルチリポジトリ対応 — 現実の開発に追いついた
地味だが実用上は一番大きい変更がこれだろう。
1つのAutomationに複数のリポジトリを紐付けられるようになった。フロントエンドとバックエンドで別リポジトリに分かれているプロジェクトや、モノレポとマイクロサービスが混在する環境でも、エージェントが全リポのコンテキストを横断して推論できる。
たとえば「フロントのPRがマージされたら、バックエンドの対応するAPIエンドポイントもチェックして整合性を確認する」といったクロスリポのワークフローが、1つのAutomationで実現する。
リポジトリなしの自動化 — コードの外にも手が届く
もう一つの目玉は「ノーリポ」Automationだ。
リポジトリを紐付けずに自動化を作れるようになったことで、コーディングとは直接関係ない業務もCursorのエージェントに任せられるようになった。5つの新しいMarketplaceテンプレートが、その方向性を示している。
- Slack digestエージェント — 未読DMと主要チャンネルの要約を毎朝届ける
- Product analyticsエージェント — データウェアハウスからKPIを引き出し、週次ダイジェストを生成
- Product FAQエージェント — Slackチャンネルの質問を監視し、ドキュメントベースで回答を作成
- Product financeエージェント — Stripeなどの課金プロバイダーから財務データを取得
- Customer healthエージェント — 顧客システムの健全性シグナルを監視してアラートを出す
素直に感心した。Cursorが「コーディングツール」の枠を越えて、開発チーム全体のオペレーションツールになろうとしている。Slack要約やKPI集計はエンジニア以外のPMやBizDevにも直接刺さる機能だ。
料金と現状
Automationsの料金体系は3月ローンチ時から変わっていない。agent runごとの課金で、Pro / Business / Enterpriseプランのユーザーが利用可能。具体的なrun単価はプランとモデルによって変動する。
新機能の初速を出したいのか、リリースから7日間は新規作成したAutomationのagent runが50%オフのキャンペーンが走っていた(5月27日に終了済み)。
気になる点
Automationsは便利だが、「何でも自動化できる」わけではない。トリガーの種類はGitHub PR、Slackメッセージ、PagerDutyインシデント、Webhookなど限定的で、「毎朝9時に実行」のようなcronベースのスケジューリングはまだサポートされていない(Slack digestテンプレートはスケジュール実行だが、これはテンプレート側の仕組みで、汎用的なcron機能ではない)。
もう一つ、マルチリポ対応は魅力的だが、大規模なモノレポや10以上のリポを同時にアタッチした場合のコンテキスト管理は未知数だ。トークン消費量が跳ね上がる可能性はある。
CursorがIDEを超え始めている
3月のAutomationsローンチから、5月のAgents Window統合、マルチリポ対応、ノーリポ自動化へ。2ヶ月で「コーディングの自動化」から「開発チームのオペレーション自動化」に守備範囲を広げてきた。
Marketplaceのテンプレートが5つで止まるとは思えない。Datadog連携やLinear連携のテンプレートが出てくれば、開発チームの定型業務の大半をCursor経由で自動化できる世界が見えてくる。Cursorを「AIコードエディタ」と呼ぶのは、そろそろ正確ではないかもしれない。
関連記事
Jiraのチケットに@Cursorと書くだけでPRが届く — Atlassian公式連携が始まった
CursorとJiraが公式連携。@CursorでAIがPR作成まで自動実行。Rovo連携や料金も解説。
Issue→コード→マージまで、デスクトップ1枚で完結する — GitHub Copilot Appが見せた「エージェント開発」の形
GitHub Copilot Appがテクニカルプレビューで登場。Inbox・並列セッション・Agent Mergeなどの新機能と、Claude Code・Codexとの違いを解説する。
CursorがTeamsに現れた — @メンション1つでPRが飛んでくる世界
CursorのMicrosoft Teams連携を解説。@CursorメンションでAIコーディングエージェントにタスクを委任し、PRを自動生成する新機能の仕組みと企業での活用を考える。