GitHub Copilotが「目」と「ブラウザ」を手に入れた — 7月アップデートの全体像
7月1日、GitHub Copilotが3つの機能を同時にGA(正式版)にした。画像とPDFを読み込むVision、エージェントがブラウザを操作するBrowser Tools、そして初のオープンウェイトモデルKimi K2.7 Code。さらに7月7日にはデスクトップアプリで最大10セッションの並列エージェント実行が解禁された。
個々に見ると「ああ、そういう機能が付いたのね」で済む。だが、まとめて俯瞰すると「テキストしか読めなかったアシスタントが、画像を見て、Webを操作して、複数タスクを同時にこなすエージェントに変わった」ということだ。質的な転換と言っていい。
Vision — 画像もPDFもプロンプトに投げられる
Copilot ChatにJPEG、PNG、GIF、WebP、PDF、HEIC/HEIFをドラッグ&ドロップするだけ。VS Code、github.com、Copilot CLIのすべてで使える。
実用的な使い道は明確だ。FigmaやXDのモックアップをスクショして貼り付ければ、そのデザインに合ったコードを生成してくれる。バグ報告に添付されたスクリーンショットを読み込ませて「この画面のこのボタンが動かない原因を探して」と言える。APIドキュメントのPDFを丸ごと渡して「このエンドポイントを叩くTypeScriptのクライアントを書いて」も通る。
正直、Claude CodeやCursorでは既にできていたことだ。Copilotが今さら、とも思う。ただしGitHub上のイシューやPRに貼られた画像をそのままCopilotに渡せる——つまりGitHubワークフローの中で完結する——点は、他にない強みだ。
Browser Tools — エージェントがWebを操る
VS CodeのCopilotエージェントがChromiumブラウザを起動し、実際にページを開いてクリック、入力、スクリーンショット取得、コンソールエラーの読み取りまでできるようになった。
何が変わるか。ローカルの開発サーバーを立ち上げて「このページのこのフォームが壊れてるから直して」と頼むと、エージェントが自分でページを開き、問題を再現し、DOMを読んで原因を特定し、コードを修正する。テスト→修正→確認のループを人間が回す必要がなくなる。
プライバシー面の設計は慎重だ。ユーザーが開いているタブはデフォルトで非公開。エージェントがアクセスするには明示的な「Share with Agent」が必要。エージェントが自分で開いたタブは隔離されたセッションで動き、ユーザーのCookieやストレージには触れない。企業管理者はドメインの許可/拒否リストで制御できる。
並列10エージェント — ワークツリーで隔離
7月7日にGAしたCopilotデスクトップアプリでは、同一リポジトリに対して最大10セッションのエージェントを同時に走らせられる。
裏側はgitのワークツリーだ。各セッションが独立したブランチ・ファイル・インデックスを持つので、エージェント同士がファイルを壊し合うことがない。10個のイシューを10個のエージェントに振って、それぞれ別ブランチでPRを出させる——という使い方が現実になった。
Freeプランでも使えるのは意外だ。BYOKで自前のAPIキーを指定すれば、サブスクなしでも並列エージェントを動かせる。
Kimi K2.7 Code — 初のオープンウェイト
Moonshot AIのKimi K2.7 CodeがCopilotのモデルピッカーに追加された。1兆パラメータのMoEモデルで、トークンあたり320億パラメータを活性化する。256Kコンテキスト。
OpenAI、Anthropic、Google、Microsoftに続く5社目のモデルプロバイダーで、かつCopilot初のオープンウェイトモデルだ。コーディング性能ではK2.6から21.8%向上し、MCP(ツール呼び出し)のベンチマークではClaude Opus 4.8を上回る81.1を記録している。
Pro以上のプランで選択可能。Business/Enterpriseでは管理者がポリシーで有効化する必要がある。
料金体系(2026年7月時点)
6月1日からAIクレジット制に移行済み。1クレジット = $0.01。コード補完とNext Edit Suggestionsは全プランで無制限(クレジット消費なし)。
| プラン | 月額 | クレジット | 主な特典 |
|---|---|---|---|
| Free | $0 | 限定的 | 月2,000補完、基本モデル |
| Pro | $10 | 1,500 | 無制限補完、クラウドエージェント、コードレビュー |
| Pro+ | $39 | 7,000 | Opusクラス使用可、監査ログ |
| Max | $100 | 20,000 | 最新モデル優先、長時間エージェント |
Business($19/user)とEnterprise($39/user)は9月までプロモーションで増額クレジット付き。
「できること」が一段上がった
率直に言って、個別の機能はどれもCopilotが初ではない。VisionはClaude Codeが先行していたし、ブラウザ操作はCursorのMCP経由で既にできた。並列エージェントもDevinやClaude Codeが先に実装している。
だが「全部入り」をGitHubのエコシステムの中で統合したことの意味は大きい。Issue → Vision → Browser確認 → エージェント修正 → PR作成、が一つのプラットフォームで完結する。GitHubを中心に開発フローを組んでいるチームにとっては、別ツールを挟む理由がまた一つ減った。
逆に、既にCursorやClaude Codeで同等以上のワークフローを構築済みの個人開発者にとっては、乗り換える決定打にはならないだろう。「全部入り」と「各分野のベスト」のどちらを取るかは、チーム規模と管理コストで決まる話だ。
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