Claude Codeに司令室ができた — Agent Viewと/goalで「放置しても終わるAI」が現実になった
Claude Codeで作業していて、ふと気づく瞬間がある。テストを直している間にPRレビューも頼みたい、依存関係の更新も走らせたい。でも今のターミナルには1つのセッションしかない。タブを増やしてもう1つ起動すればいいが、3つ4つと増えると何がどこまで進んだのか把握できなくなる。
5月11日にリリースされたClaude Code v2.1は、まさにこの問題に踏み込んだ。claude agentsで開くAgent Viewと、完了条件を設定して放置できる**/goalコマンド**。この2つを組み合わせると、「AIが並列で仕事を進め、必要なときだけ人間を呼ぶ」というワークフローが成立する。

Agent View — 1画面で全セッションを見渡す
claude agents
これだけでAgent Viewが立ち上がる。ターミナル全体を使った画面に、すべてのバックグラウンドセッションが一覧表示される。各行にはセッション名、現在やっていること、最終更新からの経過時間が並ぶ。
セッションは状態ごとにグループ化される。Needs input(あなたの返答待ち)が最上部に来るので、見落としがない。Working、Completed、Failedと続く。PRを開いたセッションにはステータスドットも付く。緑ならチェック通過、黄色なら待ち、紫はマージ済み。
正直、この設計はシンプルだが正解だと思う。従来の「tmux + 複数タブ」運用で最も辛かったのは、「どのタブがどの仕事で、どこまで進んでいるか」の把握コストだった。Agent Viewはその認知負荷をほぼゼロにする。
Peekパネルが地味に強い
行を選んでスペースキーを押すと、Peekパネルが開く。セッションの最新出力や質問内容が表示され、ここから直接返信もできる。フルの会話画面に入らなくても、「テストが通らないからパス教えて」という質問に一言返すだけで済む。
これがなぜ重要かというと、コンテキストスイッチのコストが激減するから。今やっている作業の集中を切らさずに、別のセッションの問い合わせに30秒で対応して戻れる。Enterや→で完全にアタッチすることもできるが、8割のケースはPeekで事足りる。
タスクの投げ方
Agent Viewの下部にある入力欄にプロンプトを書いてEnterを押すと、新しいバックグラウンドセッションが即座に起動する。もう1つプロンプトを入力すれば、さらに別のセッションが並列で走り出す。
fix the flaky auth test in test/auth/session.spec.ts
review PR #342 for security issues
update all deprecated API calls in src/legacy/
3つ入力すれば3行。それぞれが独立したClaude Codeプロセスとして動く。ファイル編集はgit worktreeで自動隔離されるので、並列セッションが同じファイルを壊す心配はない。
/goal — 「終わるまで帰ってこなくていい」
Agent Viewが「並列管理」なら、/goalは「自律実行」だ。
> /goal all tests in test/auth pass and the lint step is clean
このコマンドを打つと、Claude Codeは完了条件を内部に保持したまま走り続ける。ターンが終わるたびに、高速な小型モデルが「条件を満たしたか」をチェックし、まだなら自動的に次のターンを開始する。人間がプロンプトを打つ必要がない。
従来のClaude Codeとの違いは明確だ。今までは1ターンの作業が終わるたびに止まり、「次は?」と聞いてきた。/goalを使えば、テストが赤い限りコードを修正し、再テストし、また修正し…を条件が成立するまで繰り返す。マイグレーション作業やリファクタリングのように、「完了状態が客観的に定義できるタスク」との相性が抜群にいい。
ただし万能ではない。完了条件が曖昧なタスク — たとえば「UIをいい感じにして」— だと、いつまでも終わらないか、中途半端な状態で「条件を満たした」と判定される可能性がある。/goalに向いているのは、テストの合格やlintのクリアなど、機械的に検証できるゴールだ。
Agent View + /goal の組み合わせ
この2つを組み合わせたときに、本当の価値が出る。
Agent Viewから3つのタスクをディスパッチし、それぞれに/goalを設定する。あとは別の作業をしていればいい。セッションが質問してきたらPeekで返答し、PRが上がったら緑のドットを確認してマージする。
朝出社してclaude agentsを開いたら、昨晩投げた依存更新が全テスト通過済みでPRになっている — そういう運用が現実的になった。バックグラウンドセッションはAnthropicのクラウドではなくローカルマシンで動くので、マシンの電源が入っている限り走り続ける。スリープからの復帰もサポートされている。
気になる点と制約
レート制限に注意。バックグラウンドセッションもサブスクリプションの使用量を消費する。10セッション並列で走らせれば、使用量は単純に10倍近くになる。Proプランのユーザーは上限に引っかかりやすいので、MaxやTeamプランでないと本格運用は厳しいかもしれない。
ローカル実行の制約。セッションはローカルで動くので、マシンをシャットダウンすると止まる。スリープは問題ないが、再起動後はセッションがFailed状態になる。アタッチし直せば再開できるが、完全な「サーバーレス実行」ではない。ここはRoutines(クラウド実行)との棲み分けになる。
Research Preview。Agent Viewはまだリサーチプレビューの段階で、UIやショートカットが変わる可能性がある。とはいえ、筆者が触った限りでは十分安定しており、日常使いに支障はなかった。
何が変わるのか
Claude Codeはこれまで「人間が対話しながら一緒にコードを書くツール」だった。Agent Viewと/goalは、その立ち位置を「人間がタスクを投げて結果を受け取るシステム」に押し広げる。
開発者の時間の使い方が変わる可能性がある。設計やコードレビューなど「人間の判断が必要な作業」に集中し、テスト修正やリファクタリングのような「ゴールが明確な作業」はAgent Viewに投げる。全部がうまくいくわけではないが、ゴールが検証可能なタスクに限れば、今日からこの運用に移行できる。
対応プラン: Pro、Max、Team、Enterprise。claude --versionでv2.1.139以降であることを確認して、claude agentsと打てばすぐ始められる。
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