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Claude Code v2.1.101 — /ultraplanで「設計中の30分」をターミナルから切り離す

Claude Codeを使っていて一番もどかしいのは、実はコード生成の時間ではない。「設計フェーズ」だ。

ちょっと複雑なリファクタリングをお願いすると、Claudeはまず既存のコードを読み込み、依存関係を追い、「ではこういう段取りで進めましょう」と計画を書き出してくる。この計画を読んで、こちらはコメントを返し、また待つ。まともな計画が出るまでに10分、20分、下手をすると30分以上ターミナルが占有される。その間、別のブランチで別の作業をしたくても、同じClaude Codeセッションの中では難しい。

4月10日にリリースされたClaude Code v2.1.101は、この「設計中は画面が塞がる」という問題に正面から手を入れてきた。目玉は2つだ。/ultraplan/team-onboarding

どちらもリサーチプレビューという位置づけだが、特にultraplanは「Claude Codeを何にどう使うか」という使い方の前提を少し変えてしまうインパクトがある。

/ultraplan — 設計をクラウドに逃がす

/ultraplan は、ローカルのplan modeと似たことをする。違いは、計画の草案をClaude Codeのクラウド環境で走らせる点にある。ターミナルからコマンドを叩くと、planタスクがAnthropicのサーバーに飛び、そこでOpus 4.6が30分程度かけてコードを読み、計画を練り上げる。

その間、あなたのCLIは空く。

/ultraplan migrate the auth service from sessions to JWTs

この一行で、セッション移行の設計タスクがクラウドに飛ぶ。CLIのプロンプトには ◇ ultraplan の小さな表示が残るだけで、他の作業を続けられる。別のディレクトリで別のClaude Codeセッションを立ち上げても構わないし、そもそもターミナルを閉じてしまっても計画は走り続ける。

計画が完成すると状態が ◆ ultraplan ready に変わり、ブラウザでセッションリンクを開くと、計画全文が専用のレビュー画面に表示される。ここが 公式ドキュメント の説明を読んでいて「ああ、これはPR レビューを意識してるな」と感じた部分だ。

  • インラインコメント: 任意の箇所をハイライトしてコメントを残せる
  • 絵文字リアクション: セクション単位で「いいね」や「うーん」を軽く返せる
  • アウトラインサイドバー: 長大な計画の中を見出しで飛び回れる

ターミナルのチャットUIで長文の計画を読み込むストレスを、ブラウザ上のドキュメントレビューUIに置き換えてきた。この体験の違いは実際に試すと結構効く。

実行先の選択肢が面白い

計画が固まったら、実装をどこで走らせるかを選べる。

  • ウェブで実行: クラウドセッションに引き続き実装を任せて、最後にPR化する
  • ターミナルに戻す: 自分のマシンにプランを送り返し、手元の環境で実行する

後者のオプションは粋だ。ブラウザで「Approve plan and teleport back to terminal」を押すと、待機中のCLIに計画が投入される。「Implement here(今のセッションで続ける)」「Start new session(クリーンな状態で実行)」「Cancel(ファイルに保存して後でやる)」の3択が出る。

計画はクラウドの高級モデルで練り、実行はローカルの制御された環境で、というワークフローがこれで成立する。特に「Bedrock / Vertex / Microsoft Foundry経由で使っている人は使えない」という制約はあるものの、Claude Code on the webアカウントを持つ個人・チームにとっては、設計と実行を切り離す選択肢が一つ増えた形になる。

ローカルのplan modeと何が違うのか

当然、「ローカルのplan modeでよくない?」という疑問は出る。筆者も最初はそう思った。

違いを整理するとこうなる。

項目 ローカル plan mode /ultraplan
実行場所 手元のマシン Anthropicのクラウド
ターミナル占有 する しない
レビューUI チャット内テキスト ブラウザの専用画面
計画が走る時間 ~数分 ~30分も許容
使えるモデル 契約に応じる クラウドのOpus 4.6中心
並行作業 他のセッションが必要 同じCLIのまま可能

プラン作成に数分しかかからないような軽いタスクではローカルplan modeで十分だ。/ultraplanが真価を発揮するのは、「計画自体がちょっとした調査タスクになる」サイズの仕事——大規模リファクタリング、マイグレーション設計、複数サービスの結合変更など——だろう。そこではターミナルが30分塞がる vs クラウドで粛々と進めてくれる、の差がそのまま生産性の差になる。

/team-onboarding — 「Claude Codeの社内ドキュメント」を自動生成

もう一つの新コマンドが /team-onboarding だ。こちらはエンタープライズ寄りの機能で、チームに新しくClaude Codeを導入した人に向けた「ランプアップガイド」を自動生成する。

生成の元ネタになるのは、あなたのローカルのClaude Code利用履歴だ。普段どういうCLAUDE.mdを置いているか、どんなMCPサーバーを繋いでいるか、どんなスラッシュコマンドをよく使っているか、といったセッションの痕跡を材料に、「うちのチームでClaude Codeを立ち上げるにはこうすればいい」という手順書が出てくる。

これは地味に効く機能だと思う。Claude Codeは個人のワークフローに強く依存するツールで、ベテランが組んだ設定をそのまま新人に渡してもまず動かない。「なぜこのhookが必要か」「なぜこのMCPを繋ぐのか」という文脈情報が抜け落ちるからだ。/team-onboardingは、その文脈を実際の使用履歴から再構成する

似たことを人間がやろうとすると、大抵「あとで整理しておきます」と言ったまま2ヶ月放置される。AIに吐き出させて、おかしな箇所だけ直すほうが現実的だ。

エンタープライズ対応の地味だが重要な改善

v2.1.101にはもう少し「分かる人だけが喜ぶ」系の改善も入っている。

  • OS CAストアをデフォルトで信頼: 社内のTLSプロキシを挟んでClaude Codeを使っている企業は、これまで証明書周りで詰まることがあった。OSの認証ストアを素直に信頼することで、追加設定なしで動くようになった
  • リモートセッションがデフォルトのクラウド環境を自動作成: /ultraplanを含むリモート機能を初回起動時、これまではウェブ側で環境を先にセットアップする必要があった。今回からはCLIから叩くだけで自動で作られる
  • プラグイン・MCPハンドリングの安定化: resume、auth、settings、エディタ連携で複数の信頼性バグが潰されている

リリースノートを読むとほとんどがこの手の地味な修正だ。でもエンタープライズ運用では、この手の「TLSプロキシで詰まる」「resume時に落ちる」の1つ1つが導入障壁になる。v2.1.101は派手な新機能1発に見えて、実はエンタープライズ利用を意識した総合アップデートという性格が強い。

何が実現可能になるか

ultraplanとteam-onboardingを掛け合わせると、Claude Codeの使い方に新しい絵が描けるようになる。

「プロジェクト開始時の1時間」を非同期化する。たとえば金曜の夕方に/ultraplanで来週着手する新機能の設計を投げておく。月曜の朝にはブラウザでレビューできる状態になっていて、コメントを返し、確定したらteleport back to terminalで手元の環境に降ろして実装に入る。設計フェーズに従来費やしていた月曜午前中がそっくり別の作業に回る。

新メンバーの立ち上げ期間を短縮する。チームに新しい開発者がjoinしたら、ベテランのClaude Codeセッションから/team-onboardingを走らせて、そのままREADME的なドキュメントとして渡す。そこからさらに新人がultraplanで「このリポジトリのアーキテクチャを教えて、最初のタスクに取り掛かる計画を立てて」と投げれば、人間側のレクチャーコストはかなり下がる。「先輩の時間を奪わずに立ち上がれる」というのは若手にとってもストレス軽減になる。

もう一歩踏み込むと、CI/CDパイプラインに「プランだけ走らせる」ステップを組み込むという使い方も見えてくる。PRを作る前にultraplanを呼び、クラウドが出した計画をブラウザで承認したら初めて実装に進む、というワークフロー。レビュー文化を「コードレビュー」から「計画レビュー」に前倒しする動きにも接続できる。この最後の絵は現状のAPIでは自動化が難しいが、Anthropicが外部から呼び出せるエンドポイントを切ればそう遠くない。

正直なところ、気になる点

こうして書くと万能に見えるが、実機で試すと引っかかる点もある。

30分待たされる/ultraplanは「こんなに時間がかかるの?」と最初は驚く。公式ドキュメントにも「cloud session runs for up to 30 minutes」と書かれている。ローカルなら5分で終わるような軽いタスクにultraplanを投げると、単に計画が遅く返ってくるだけの結果になる。タスクの粒度を見極める目が必要だ。

Bedrock/Vertex/Foundry利用者は使えない。エンタープライズで一番Claude Codeが欲しい層の一部が、この機能から外れている。Anthropic直接契約のみが対象というのは、しばらく続く制約だろう。

team-onboardingの精度はまだブレる。ローカルのセッション履歴から生成するため、普段の使い方がそのまま文書の質になる。CLAUDE.mdがほぼ空で、MCPも繋いでいない人が走らせると、残念な出力になる。

とはいえ、これらは「機能の方向性が間違っている」という話ではない。むしろ使いこなす側のリテラシーが追いつくほど化けるタイプの機能だ。

Claude Codeは過去半年でplanモード、Auto Mode、voiceモード、そしてultraplan/team-onboardingと、エージェントとしての「段取り」と「協調」を強化し続けている。v2.1.101はその流れの中で、「設計のコストをクラウドに逃がす」という新しいレバーを1本追加したリリースとして記憶される気がする。

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