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スマホのChromeが「代わりにやっておいて」に応え始める — Gemini搭載Auto Browseが6月末に始動

「このチケットの座席から近い駐車場を探して予約して」

スマホに向かってそう言ったら、Chromeが勝手にWebサイトを巡回して、駐車場を比較して、予約フォームを入力して、最後に「これで予約していい?」と確認だけ聞いてくる。

これはコンセプトデモではない。Googleが6月末にAndroid版Chromeへ実装するAuto Browseの実際の挙動だ。

何ができるのか

Auto BrowseはGemini 3.1を搭載したエージェント機能で、Chromeのツールバーに表示されるGeminiボタンからアクセスする。ページの要約や質問応答だけでなく、Webサイトを実際に操作する。スクロール、クリック、テキスト入力——人間がブラウザでやる操作を、AIが代行する。

Google I/O 2026で紹介されたユースケースはこんな感じだ。コンサートのチケット情報から近隣の駐車場を検索して予約する。定期購入しているドッグフードの注文内容を変更する。複数のサイトを巡回して価格を比較する。

つまり、「自分でやれば10分、面倒だから後回しにしがちなWeb上の雑用」を肩代わりしてくれる。

「勝手に買い物する」は起きない

AIがブラウザを自律操作するとなれば、真っ先に心配になるのは「勝手に購入ボタンを押されないか」だろう。

Googleはこの点を明確に設計している。購入、決済、SNSへの投稿といった影響の大きい操作の直前で、Auto Browseは必ず一時停止する。画面に確認ダイアログが表示され、ユーザーが「Approve」を押さない限り処理は進まない。

操作の途中でも、いつでもユーザーが手動で割り込んで操作を引き継げる。プロンプトインジェクション——悪意のあるページがAIの動作を乗っ取ろうとする攻撃——への防御機能も組み込まれているとGoogleは説明している。

正直、この安全設計は妥当だと思う。「面倒な操作を自動化するが、お金が動く場面では必ず人間に確認する」というラインは、現時点でのAIエージェントとしてちょうどいい落とし所だ。

使うための条件は厳しめ

ここが現実的なハードルになる。

Auto Browseを使うにはGoogle AI Pro(月額$19.99、約3,000円)またはAI Ultra(月額$99.99、約15,000円)のサブスクリプションが必要だ。無料プランやAI Plusプラン($7.99/月)では利用できない。

デバイス要件もある。Android 12以上、RAM 4GB以上、言語設定が英語(US)。そしてローンチ時点では米国限定だ。

日本のユーザーが試すには、言語設定を英語に変え、VPNで米国IPを取得する必要がある可能性が高い。ただし、Googleの「米国先行→数ヶ月後にグローバル展開」のパターンを考えると、日本語対応は2026年内に来る可能性が十分ある。

Perplexity ComputerやOpenClawとは何が違うか

「AIにブラウザを操作させる」という発想自体は新しくない。Perplexity ComputerはMac上でブラウザを含むアプリケーション全体を操作できるし、OpenClawはローカルで動くパーソナルAIアシスタントとして50以上のインテグレーションを持つ。

Chrome Auto Browseの強みは、20億人以上が使うChromeブラウザに直接組み込まれる点だ。別のアプリをインストールする必要がない。Googleアカウントでログインしていれば、そのまま使える。

逆に言えば、Chrome内でしか動作しないという制約もある。Perplexity Computerのように「メールアプリを開いてSlackに転送して」といったクロスアプリ操作はできない。ブラウザの中で完結するタスクに特化している。

日常の「面倒くさい」がなくなる可能性

Auto Browseが本当に実用的になれば、変わるのは「AIに何かを聞く」体験ではなく「AIに何かをやってもらう」体験だ。

たとえば、毎月の公共料金の支払いサイトにログインして明細を確認する作業。複数の航空会社のサイトを巡回して最安値を探す作業。引越し後の住所変更を各サービスのマイページで一つずつ更新する作業。どれも「やり方は分かっているけど面倒」なもので、まさにAuto Browseが得意とする領域だろう。

ただし、日本語サイトへの対応精度、ログイン状態の引き継ぎ、日本特有のフォーム設計(全角/半角の使い分け等)との相性は、実際に使ってみないと分からない。米国の主要サイトで動くことと、日本のサイトで動くことは別の話だ。

Googleが20億人のブラウザに「操作代行AI」を載せるという事実は、AIの使われ方が「質問する道具」から「作業を任せる道具」に確実にシフトしていることを示している。6月末の米国ローンチ後、日本語対応の動向を注視したい。

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