AIエージェントを4つ同時に走らせて、全部の面倒を見る — Batonという選択肢
Claude Codeでフロントエンドを作らせている間に、別のターミナルでCodexにAPIを書かせる。その横でGemini CLIにテストを生成させる。AIコーディングエージェントを並列で動かすワークフローは、2026年に入ってから急速に広がっている。
だが実際にやってみると、面倒くさい。3つのターミナルを行き来して、どれが入力待ちか確認して、ブランチのコンフリクトを避けながら結果をマージする。エージェントが賢くなっても、その管理は人間の仕事だった。
Batonは、この「エージェントのベビーシッター問題」を解決するために作られたデスクトップアプリだ。
何をするツールか
Batonは複数のAIコーディングエージェントをgit worktreeで隔離して並列実行し、すべてを一画面で監視する。対応エージェントはClaude Code、Codex CLI、Gemini CLI、OpenCode、その他ターミナルベースのエージェント全般。Mac、Windows、Linuxで動く。
各ワークスペースは実際のディスク上のディレクトリに紐づいており、VS Code、Cursor、Windsurf、Xcodeへのショートカットが組み込まれている。Batonはgitブランチの管理とエージェントの監視を担い、コードの編集は好きなIDEでやればいい。
特に便利なのが通知機能だ。エージェントが入力待ちになると通知が飛んでくるので、「あのターミナルどうなったっけ」と切り替えて確認する手間がなくなる。開発者がBatonを作った動機も「ウィンドウを切り替えてエージェントの状態を確認するのをやめたかった」というシンプルなものだった。
実用面の特徴
ファジー検索がfzf、テキスト検索がripgrepで実装されている。エディタ並みの検索速度でワークスペース内のファイルを横断できる。
シェルコマンドやエージェントプロンプトをテンプレートとして保存し、任意のワークスペースからワンクリックで実行する仕組みもある。「lintを実行して、エラーがあれば修正して」のようなプロンプトをテンプレにしておけば、どのブランチでもすぐ走らせられる。
料金
無料版は同時実行4ワークスペースまで。買い切り$49(約7,400円)で無制限になる。14日間の返金保証付き。サブスクではなく買い切りという点は好感が持てる。個人開発者なら無料版で十分だし、チームでガッツリ使うなら$49は安い。
Cursor 3.0やClaude Code /devとの違い
並列エージェント実行は、Cursor 3.0のAgents Window(最大8並列)やClaude Codeの/dev(Workerエージェント並列)でもできる。Batonとの違いは「特定のIDEやエージェントに縛られない」点にある。
CursorのAgents WindowはCursor内でしか使えない。Claude Codeの/devはClaude Code専用だ。BatonはどのエージェントでもどのIDEでも組み合わせられる。Claude CodeでバックエンドをやらせつつCodexでフロントエンドをやらせる、といったクロスエージェント運用ができるのはBatonの強みだ。
逆に、単一エージェントをメインで使っている人にはBatonの恩恵は薄い。Cursor一本で完結しているなら、Agents Windowの方が統合度は高い。
「エージェント管理」が次の課題になる
正直、今はまだ「エージェント4つ並列」の恩恵を受けられるプロジェクトは限られている。だがエージェントの性能向上はこの1年で劇的に進んでおり、「タスクを渡して放置できる」場面は確実に増えている。
そうなると、ボトルネックはエージェントの能力ではなく、人間がエージェントを管理するコストに移る。Batonはその移行点を見越して作られたツールだ。今すぐ必要な人は少ないかもしれないが、半年後には「なぜもっと早く使わなかったのか」と思うタイプのツールだと感じる。
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