英語のYouTube動画を30秒で日本語に吹き替える — 無料で使えるYeta AIの実力
海外のテック系YouTuberが出す解説動画、見たいけど英語が辛い。自動字幕はあるが、字幕を追いながらUIの操作画面も見るのは正直しんどい。かといって日本語で同じ情報が出てくるのは数日後だ。
Yeta AIはこの問題に対して、かなり直球な答えを出してきた。YouTubeのURLを貼って言語を選ぶだけ。30〜60秒後に吹き替え済みの音声が再生される。字幕ではなく、音声そのものが日本語になる。
2026年5月にProduct Huntでローンチしたこのツールは、VCの資金を一切受けず、少人数のチームが6ヶ月かけて自己資金で開発したという。派手なバックグラウンドはないが、解決している課題は明確だ。
使い方は説明不要なほどシンプル
操作はほぼ2ステップで完結する。
Yeta AIのサイトを開き、見たいYouTube動画のURLを貼る。吹き替え先の言語を選ぶ。これだけだ。30〜60秒の処理が終わると、吹き替えた状態で動画が再生される。アカウント作成もクレジットカード登録も不要で、すぐに試せる。
音声の分離技術が入っているため、バックグラウンドのBGMやSEを残したまま、話者の声だけが吹き替わる。BGMが消えて無音の上に合成音声が乗るような安っぽさはない。この点は正直よくできている。
対応言語は10以上。英語→日本語はもちろん、日本語→英語、英語→スペイン語など、多方向の吹き替えに対応する。
YouTube公式のオートダビングとは何が違うのか
ここで「それ、YouTubeの公式機能でできるのでは?」と思った人もいるだろう。2026年1月にYouTubeが全クリエイター向けに開放した「オートダビング」機能のことだ。
違いは明確で、立場が逆だ。
YouTubeのオートダビングは**動画を投稿する側(クリエイター)**がYouTube Studioで有効にする機能。クリエイターが設定しなければ使えない。しかも対応言語は現時点で英語→日本語、フランス語、ドイツ語、スペイン語など限定的で、すべての動画に適用されるわけではない。
一方、Yeta AIは**動画を視聴する側(ユーザー)**が使うツール。クリエイターの設定に関係なく、どんなYouTube動画でも吹き替えられる。クリエイターがオートダビングに対応していない動画でも、自分の手で日本語にできる。
この「視聴者主導」という設計が、Yeta AIの最大の差別化ポイントだ。
無料プランでどこまで使えるか
無料プランでは月15〜20分の吹き替えが可能。10分の動画を2本見れば、ほぼ月の上限に達する。日常的に使うには足りないが、「この動画だけは日本語で理解したい」という使い方なら十分だ。
有料プランの詳細はまだ公開情報が限られている。ローンチ直後のプロダクトなので、今後料金体系が整備されていくだろう。
期待しすぎると引っかかる部分
音声の自然さはかなり改善されているとはいえ、まだ「AIが読んでいる感」は残る。特に感情の起伏が激しいプレゼンや、ジョークの間の取り方は機械的になりがちだ。情報系の動画やチュートリアルには向いているが、エンタメ系のコンテンツだと違和感が出やすい。
もうひとつ、リアルタイムとは言いつつ最初の処理に30〜60秒かかる。短い動画ならすぐだが、1時間の講演動画だと待ち時間が気になるかもしれない。
モバイルアプリは開発中とのこと。現時点ではブラウザのみの対応だ。通勤中にスマホでさっと使えるようになれば、利用シーンが一気に広がる。
「英語がわからなくても世界のコンテンツにアクセスできる」という未来
Yeta AIが面白いのは、YouTube動画という巨大なコンテンツプールに対して、言語の壁を視聴者側から取り払えるところだ。
たとえば、海外の有名大学が公開している講義動画。MITやスタンフォードのCS講座をAI吹き替えで日本語で聞く、という使い方は十分に現実的だ。字幕を追うのとは集中力の使い方がまったく違う。
あるいは、海外のAIツールレビュー動画。新しいツールが出たとき、英語圏のレビュアーは当日中に動画を出す。それを日本語で聞ければ、情報のタイムラグがほぼゼロになる。
技術的にはElevenLabsのDubbing Studioなど、より高品質な吹き替えサービスも存在する。ただしElevenLabsは動画ファイルのアップロードが必要で、YouTube動画のURLをそのまま貼れるYeta AIの手軽さとは方向性が異なる。「品質を追求するならElevenLabs、手軽さを取るならYeta AI」という棲み分けになるだろう。
まだローンチ直後の小さなプロダクトだ。無料プランの容量は少なく、有料プランの全容も見えない。だが「あの動画、日本語で聞けたらいいのに」と思ったことがある人なら、30秒だけ試してみる価値はある。
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