「AIに会話を読まれたくない」を本気で解決するプラットフォームが、評価額1,000億円を超えた
ChatGPTに機密情報を貼り付けるとき、一瞬ためらったことはないだろうか。このデータはどこに行くのか、と。
その不安に正面から答えるプラットフォームがある。Venice AIだ。
7月1日、Dragonfly主導のSeries Aで6,500万ドルを調達し、評価額10億ドルに到達。Coinbase Venturesも参加しており、暗号通貨マネーがAIに流れ込んでいる。
ゼロアクセス暗号化という設計思想
Venice AIは「ゼロアクセス暗号化」を掲げるAIプラットフォームだ。ユーザーのプロンプトや生成結果を、運営側が一切閲覧できない設計になっている。200以上のモデルでテキスト・画像・コード生成に対応する。
ChatGPTはデフォルトで会話をモデル改善に使う。Claudeも会話データをAnthropicのサーバーで処理する。Venice AIはそもそもデータにアクセスしない。ここが決定的に違う。
創業者のErik Voorheesはビットコイン取引所ShapeShiftの創業者で、「検閲されないインフラ」という思想をAIに持ち込んだ形である。ARRは7,000万ドル超、アクティブユーザーは300万人。プライバシー特化でここまで伸びたのは率直に驚く。
「無検閲」の光と影
もうひとつの特徴は「無検閲」だ。他のAIが拒否する出力も基本的にフィルタリングしない。研究者やジャーナリストにとって、AIが情報を取捨選択しないことの価値は大きい。
一方、TechCrunchはマルウェア生成への悪用リスクを指摘している。プライバシーと安全性はトレードオフの関係にあり、スケールする上で避けられない課題だろう。
筆者の見方
解決しようとしている課題は本物だと思う。「運営がプロンプトを読めない」保証は、特定の用途では決定的な差別化要因だ。ただし無検閲を強く打ち出す以上、メインストリーム普及には別のハードルもある。プライバシーと安全性の両立が命運を分けるだろう。
ChatGPTやClaudeに不満がないなら急いで乗り換える必要はない。だがAIにデータを預けること自体に懸念があるなら、知っておく価値のある選択肢だ。
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