AIに自分の説明をするのが、もう面倒になった人へ — Unabyssという選択肢
Claude Codeを開くたびに「自分はこういう開発者で、このプロジェクトではこういう技術スタックを使っていて……」と書くのが、正直しんどくなってきた。CLAUDE.mdにまとめればいいという話ではある。でも、プロジェクトが変わるたびにコンテキストを整理するのは地味な負担だし、そもそもAI側が「自分」のことを何も知らない状態からスタートするのが毎回もったいない。
Unabyssは、その「自己紹介の繰り返し」を丸ごとなくそうとしているツールだ。5月25日にProduct Huntで1位を獲得し、454 upvotesを集めた。
仕組みはシンプルで、だからこそ刺さる
やることは3つ。接続する。抽出される。AIが読む。
LinkedIn、Notion、Gmail、Slack、GitHub、Google Drive、カレンダーなど主要サービスと連携すると、Unabyssがそれらから「あなた」に関するコンテキストを自動抽出する。職歴、文体の癖、進行中のプロジェクト、チームの構成、よく使うツール。これらがpersona.md、voice.md、company.mdといった構造化ファイルに整理される。
ここからがミソだ。このコンテキストはMCP(Model Context Protocol)経由で、Claude Code、Cursor、Perplexityなど対応ツールに直接渡される。AIを開いた瞬間から、あなたが誰で何をしている人なのかを知った状態でやり取りが始まる。
通常のRAGとの違いも興味深い。一般的なRAGが関連しそうなチャンクをまとめてプロンプトに詰め込むのに対し、Unabyssは質問に直接答えるピンポイントの行だけを抽出する。公称で最大10倍のトークン削減。トークンが減ればレスポンスは速くなり、コストも下がる。
プライバシー管理が細かい
この手のツールで気になるのは「どこまでAIに渡されるのか」だろう。
Unabyssには4段階のスコープ制御がある。制限なし、個人情報を除外、社外秘を除外、特定ソースアプリのデータ全体を除外。しかもこのフィルタリングは取得時に適用されるので、Unabyss内にデータは保持しつつ、AIに渡す範囲だけを絞れる。
アイテム単位でのアクセス制御もできるので、「Slackの内容は共有するけど、Gmailの特定スレッドは渡さない」といった運用も可能だ。
料金と始め方
登録時に無料クレジットがもらえ、クレジットカード不要で始められる。機能やインテグレーションに制限はなく、全機能が最初から使える。クレジットを使い切ったあとは従量課金。ティアや月額プランといった概念がなく、使った分だけ支払うシンプルな構造だ。
正直に思ったこと
コンセプトは素直にいいと思った。AIツールを複数使い分ける人ほど、「自分の情報」をツールごとに何度も入力する無駄を感じているはずだ。Unabyssはそこにピンポイントで刺さる。
ただ、気になる点もある。
まず、連携サービスの網羅性。現時点ではLinkedIn、Notion、Gmail、Slack、GitHub、Google Driveなど主要サービスに対応しているが、日本で利用者の多いChatWorkやBacklogのような国内サービスには対応していない。日本のユーザーにとっては、使える範囲が限定される場面があるだろう。
もう一つは信頼の問題。自分のGmail、Slack、LinkedInのデータを新興のサービスに預けるのは、心理的なハードルが高い。スコープ制御は充実しているとはいえ、サービス自体のセキュリティ体制やデータ保持ポリシーについてはまだ情報が少ない。
MCP時代の「パーソナルAPI」になれるか
Unabyssのアイデアをもう少し先に飛ばすと、面白い未来が見える。
今のところMCPは開発者向けのプロトコルだが、もしUnabyssのようなコンテキストレイヤーが標準化されれば、AIツールを乗り換えるたびにゼロから関係を築き直す必要がなくなる。ChatGPTからClaudeに移っても、CursorからWindsurfに移っても、「自分」のデータはUnabyssに残っている。AIツールのロックインを緩和する存在になりうる。
さらに、チーム運用で使えるようになれば、新メンバーのオンボーディングにも効く。チームのコンテキスト(使用技術、コーディング規約、主要リポジトリの構造)をUnabyssにまとめておけば、新メンバーがClaude Codeを開いた瞬間から、チームの文脈を踏まえたアシスタントが使えるようになる。
Product Huntでの1位獲得は良いスタートだが、本当の評価はこれからだ。MCPエコシステムの拡大とともに、このカテゴリ自体が成長するかどうかが問われている。
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