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CursorもDevinも裏ではこの会社のGPUを使っている — Together AI、1,250億円調達の意味

Cursorで書いたコード、Devinが自動生成したPR。その推論を処理しているGPUの持ち主を、知っているだろうか。

Together AI。サンフランシスコに拠点を置くAIインフラ企業が、7月1日にシリーズCで8億ドル(約1,250億円)を調達した。評価額は83億ドル(約1.3兆円)。前回のシリーズBから約16ヶ月で評価額は2.5倍に跳ね上がった。

ラウンドを主導したのはAramco Ventures(サウジアラビアの国営石油会社Aramcoの投資部門)。NVIDIA、Vista Equity Partners、Salesforce Venturesなどが参加した。石油マネーがAIのGPUインフラに流れ込んでいる構図だ。

「ネオクラウド」とは何か

Together AIは「ネオクラウド」と呼ばれる新しい種類のクラウド企業だ。AWS、Azure、GCPのような汎用クラウドではなく、AI推論とトレーニングに特化したGPUクラウドを指す。

この市場にはCoreWeave、Lambda Labs、Groq、RunPodなどが名を連ねる。ネオクラウドの最大の武器はコストだ。H100サーバーの時間単価はハイパースケーラーの約$98/時に対し、ネオクラウドは平均$34/時。60〜70%のコスト削減になる。

Together AIが他のネオクラウドと違うのは、「GPUを貸すだけ」ではない点だ。インフラ層の上に推論APIプラットフォームを構築し、Llama、DeepSeek、Mistral、QwenなどのオープンソースモデルをAPIひとつで呼び出せるようにしている。

CursorやDevinが選ぶ理由

Together AIの顧客リストを見ると、AIコーディングツールの主要プレイヤーが並ぶ。Cursor、Cognition(Devin)、Decagon。ZoomやQuoraも利用している。

なぜ選ばれるのか。ひとつはスピードだ。Together AIは「次に速いプロバイダーの2倍の推論速度」を公称している。もうひとつはコスト。ある顧客(Decagon)は、OpenAIなどのクローズドモデルからTogether AIのオープンソースモデル推論に切り替えたことで、コストを6分の1に削減したと報告している。

50万人近い開発者がプラットフォーム上にいて、年間予約売上は11.5億ドル(約1,800億円)を超えた。オープンソースAI推論のインフラとしては、事実上の最大手だ。

FlashAttentionを作った研究チーム

Together AIを語るうえで見落とせないのが、研究面での貢献だ。

共同創業者にはスタンフォード大学のPercy Liang教授とChris Re教授が名を連ねる。Chris Re教授の研究室から生まれたのがFlashAttention——現在ほぼすべてのTransformerモデルの学習に使われている高速化技術だ。最大9倍のスピードアップを実現し、AIモデル開発の基盤技術になっている。

さらにRedPajamaプロジェクトでは、30兆トークン超のオープンソース事前学習データセットを公開。500以上のモデルがこのデータセットで訓練された。研究で作り、インフラで売る。Together AIのビジネスモデルはこの循環の上に成り立っている。

石油マネーがGPUに向かう理由

今回のラウンドでは、投資家が500メガワット以上のコンピュート容量を追加でコミットしている。エクイティとは別枠だ。インフラの規模を今後5年で50倍に拡大する計画がある。

Aramco Venturesが主導したことには象徴的な意味がある。サウジアラビアは長期的なコンピュート供給を、エネルギー供給と同等の国家戦略として位置づけている。石油の時代のあとに来るものとして、GPUクラウドに張っている。

正直な評価

Together AIの成長は印象的だが、リスクもある。ネオクラウド市場は急速に混み合っている。CoreWeaveは2025年にNasdaq上場を果たし、Groqも$650Mを調達済み。差別化が推論スピードとコストだけなら、いずれ価格競争に飲み込まれる可能性がある。

また、NVIDIAが投資家に名を連ねている点は両刃の剣だ。NVIDIAのGPU供給を優先的に受けられる一方で、NVIDIAが競合するクラウドサービスを拡大すれば利害が衝突する。

それでも、オープンソースAIの推論コストを下げ続けることで市場を広げてきた実績は確かだ。CursorやDevinのようなアプリケーション層の企業が成長するほど、その足元のインフラを支えるTogether AIの存在感は増していく。AIスタックの「見えないレイヤー」を押さえた企業が、1.3兆円の評価を受けている。

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