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Siderが「Webサイトを言葉で作り直すAI」を出してきた — 気に入らないページを直せるSider Code

毎日開くのに、地味にストレスなサイトというものがある。YouTubeのトップに並ぶShortsの棚、Redditの延々と続くコメントツリー、Xでバズったポストを追うたびに前後の文脈を探す手間。「この部分だけ消えてくれたら」「一覧で見られたら」と思いながら、結局そのまま使い続けている人は多いはずだ。

Siderが2026年9月1日に公開した Sider Code は、その「ちょっとした不満」を言葉で解決させにきた機能だ。表示中のページに対して、やりたいことを日本語(や英語)で指示すると、AIがその場でコードを書いてページを作り替える。しかもその変更は、次に同じサイトを開いたときも保持される。

Sider Codeが何をするものか

まず前提として、Siderは日本でもそこそこ知られているChrome拡張だ。ブラウザのサイドバーからChatGPT・Claude・Geminiなどを切り替えて使える統合型のAIアシスタントで、ページ要約やPDFチャット、YouTube要約あたりで使っている人も多いだろう。

Sider Codeはその新しい看板機能で、立ち位置が今までとはだいぶ違う。要約や質問応答のように「ページの内容を読んで返事をする」のではなく、ページそのものに手を入れる

やっていることを分解すると、こうなる。

  1. 今見ているページの構造をAIが理解する
  2. ユーザーの指示(例: 「Shortsの棚を消して」)を解釈する
  3. それを実現するコードを書いて、その場で適用する
  4. 変更をSiderが記憶し、再訪時に自動で再適用する

公式が挙げている例がわかりやすい。Redditの大量コメントを要点が見える俯瞰ビューに変換する、散らばったXのポストを目次付きの1本の記事に整形する、YouTubeからShortsの棚を丸ごと消す——といった具合だ。レイアウトの調整、余計な要素の非表示、情報の抽出、そしてサイトに元々なかった操作の追加まで、すべて「コードを書かずに、言葉で」やらせる。

要するに、ユーザースクリプトやカスタムCSS、あるいはブラウザ拡張を自作していた層がやってきたことを、自然言語の指示に丸投げできるようにした、というのが正体に近い。

なぜ今このタイミングなのか

2026年に入ってから、ブラウザとAIエージェントの距離は一気に縮まった。ページを読んで代わりに操作するタイプの「ブラウザエージェント」が各社から出てきたが、Sider Codeの狙いは少し角度が違う。代わりに操作するのではなく、自分好みに作り替えて自分が快適に操作する方向に振っている。

この違いは地味だが大きい。全自動でタスクをこなすエージェントは、うまくハマれば強力だが、何をしているか見えにくく、任せきりにするには信頼が要る。一方Sider Codeは、あくまで見た目と使い勝手を変えるだけなので、結果が目の前に出る。壊れたら元に戻せばいい。心理的なハードルはかなり低い。

Siderという既に一定のユーザーを抱えたブランドが出してきた、という点も無視できない。新興ツールが同じ機能を出しても「怪しい拡張」で終わりがちだが、既存の導線に乗せられる強みがある。

料金と、使えるようになるまで

Sider Code自体は無料で提供されている。Sider拡張を入れていれば、追加費用なしで試せる。

ただし注意したいのは、Siderには元々「無料・有料・API従量課金」の料金体系があり、AIモデルの利用回数などは上位プランで増える構造だという点だ。Sider Codeがコード生成のたびにどの枠を消費するのか、無料枠でどこまで実用的に回せるのかは、使い込むと見えてくる部分だろう。「無料」と大きく書かれていても、ヘビーに使えば上位プランへの導線が待っている——というのは、この手のツールの常だと思っておいたほうがいい。

正直な評価

素直に良いと思うのは、「不満を我慢する」から「その場で直す」への発想の転換だ。これまでは、サイトの使いにくさは基本的に受け入れるしかなかった。開発者向けにはユーザースクリプトという手段があったが、書ける人は限られる。それを言葉に落とせるなら、対象がぐっと広がる。変更が再訪時に保持されるのも、実用面では効いてくる。一度直せば、あとは普段どおり使うだけだ。

一方で、気になる点もはっきりある。

まず信頼性。AIが生成したコードをページに注入して動かす以上、サイト側がレイアウトを更新すれば、書き換えは簡単に壊れる。「一度直したのに、いつの間にか元に戻っていた(あるいは表示が崩れていた)」は普通に起きるだろう。直し続ける手間が、直す価値を上回らないかは用途次第だ。

次にプライバシーとセキュリティ。ページ構造を理解してコードを実行する機能は、裏を返せばブラウザ拡張が閲覧中のページに深く関与するということでもある。ログイン後の画面や機密情報を含むページで何をどこまで読み、どこに送っているのか——このあたりは、便利さと引き換えに各自が納得できるかどうかの話になる。銀行や社内システムのような場面では、私なら安易には使わない。

そしてもう一つ、エコシステム依存。変更はSiderが記憶する仕組みなので、Siderをやめた瞬間にすべて消える。カスタマイズを積み上げるほど、Siderから離れにくくなる。これは利点でもあり、囲い込みでもある。

この機能が開く可能性

面白いのは、この「言葉でページを作り替える」が単体の便利機能で終わらない点だ。

たとえば、視覚や認知の特性に合わせてフォントサイズ・配色・情報密度を丸ごと調整できるなら、これは実質的なアクセシビリティツールになりうる。「文字を大きく、広告と装飾を全部消して、本文だけ縦に並べて」——それが全サイトで効くなら、Webの読みやすさは人によって別物になる。

もう一歩踏み込むと、同じ人がよく使う十数個のサイトを、すべて自分の思考の流れに沿った形に整えた「自分専用のWeb」を持てるようになる。今のWebは提供側のデザインを一方的に受け取るものだが、その主導権が少しだけ読者側に移る。

さらに、ページから必要な情報を抽出できる能力を、要約や自動化と組み合わせられれば、「特定サイトの新着だけを毎朝この形で見る」といった個人向けの情報ダッシュボードを、コードを書かずに組み上げられる余地もある。ここは現状の完成度次第だが、方向としては十分ありうる。

どんな人に向くか

普段からブラウザで長時間作業し、特定のサイトの使いにくさに毎回イラッとしている人には、試す価値がある。逆に、AIが注入するコードを常時走らせることに抵抗がある人や、機密性の高い業務ページ中心で使いたい人は、当面は様子見でいいと思う。

ツールとしての完成度より、「Webは受け取るものではなく、作り替えられるもの」という発想を体験できることのほうが、今のSider Codeの価値かもしれない。詳細はSider公式サイトで確認できる。

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