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「IDEは未来じゃない」— 300万人に使われたRoo Codeが終了し、代わりに残したもの

5月15日、Roo CodeのVS Code拡張がサービスを終了する。

300万以上インストールされ、GitHubで23,000スターを集めた人気拡張が、ある日を境に動かなくなる。Roo Code Cloud、Roo Code Routerも同時に終了。リポジトリはアーカイブされ、未使用の残高は返金される。

終了の理由について、共同創業者兼CEOのMatt Rubensはこう言い切った。「我々はIDEがコーディングの未来だとは信じていない」。

内部ではもう使っていなかった

Rubensによると、Roo Codeの開発チーム自身がVS Code拡張を使わなくなっていたという。チームの日常は、リモートのクラウド環境で複数のエージェントを並行稼働させ、ルーティン作業をほぼ無人で回すスタイルに移行していた。エンジニアが介入するのは事後レビューだけ。

「エージェントが1つのプロンプトからPRを作れるなら、インタラクションモデルそのものが変わる」。拡張の開発を続けることは、クラウドプロダクトへの集中を妨げるだけ — そう判断した。

筆者としては、この論理は理解できる。ただし「自分たちが使わなくなったから」と「ユーザーにとって不要になった」は別の話だ。300万人の中にはまだIDEベースのワークフローが合っている人が大量にいるはずで、その層に対して2週間前の告知で終了というのは、率直に言って乱暴に感じる。

後継「Roomote」とは何か

Roo Codeの跡を継ぐのが、クラウド型コーディングエージェントRoomoteだ。

コンセプトはシンプル。SlackやGitHub、Linearからプロンプトを送ると、隔離されたコンテナ環境でエージェントがタスクを実行し、完了したPRを返す。IDEは不要。

料金:

プラン 月額 エージェント時間
Pro $20(約3,000円) $5/時間
Team $99(約15,000円) $5/時間・席数無制限
Enterprise 要問合せ カスタム

典型的なタスクは8〜15分で完了するため、1タスクあたり$0.7〜$1.3程度。マイグレーション追加のような小さい作業なら5分($0.4)、10ファイル以上のリファクタなら25〜40分($2〜$3.3)が目安だという。

無料だったRoo Code拡張から月額$20 + 従量課金への移行は、コストインパクトとしては大きい。特に個人開発者にとっては、同じ価格帯にCursor($20/月)やClaude Code($20〜)が並んでおり、Roomoteだけの理由を見つける必要がある。

コミュニティの反応と移行先

終了発表直後から、複数の動きが生まれた。

ZooCode — コミュニティがRoo Codeのコードベースをフォークし、VS Code拡張として存続させるプロジェクト。すでにGPT-5.5やClaude Opus 4.7に対応したリリースが出ている。zoocode.devで公開中。Roo Codeチームとの公式ハンドオフも進んでいるようだ。

Cline — Roo Codeのフォーク元。Clineの創業者Saoud Rizwanは「Roo Codeは我々のコミュニティに他のどのフォークよりも多く貢献した」と敬意を表し、Roo Codeユーザーの受け入れを表明した。もっともスムーズな移行先だろう。

Kilo Code — Roo Codeの別フォーク。終了発表の同週にRoo Code → Kilo移行ガイドを公開した。

Kilo CodeのCEO Brian Turcotteは「IDEの時代は終わっていない。まったく逆だ」と真っ向から反論しており、「IDE vs クラウドエージェント」の議論はしばらく続きそうだ。

どう判断すべきか

今Roo Codeを使っている人へ。5月15日まであと2日。選択肢は3つある。

  1. ZooCodeに乗り換える — Roo Codeとほぼ同じ体験を維持したいなら。ただしコミュニティ運営のため、長期的な安定性は未知数
  2. Clineに戻る — フォーク元なので互換性が高い。アクティブな開発が続いている
  3. Roomoteに移る — CEOのビジョンに共感し、クラウドベースのワークフローに切り替えたいなら

個人的には、Clineへの移行がもっとも低リスクだと思う。ただ「IDEを開かずにSlackからPRが飛んでくる」体験に惹かれるなら、Roomoteを試す価値はある。CursorのTeams連携もそうだが、AIコーディングが「IDE内の作業」から「どこからでも使えるインフラ」に変わりつつあるのは、もう止められない流れだ。

Roo Codeが4月にオープンソースとして残した功績 — Custom Modes、柔軟なモデル選択、完全無料という思想 — はZooCodeやClineを通じて生き続ける。ツールは消えても、コードとコミュニティは残る。

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