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Sora要らずかもしれない — Replitの「動画をコードで書く」新機能が面白い

AIで動画を作るというと、SoraやRunwayのような「実写風の映像を生成するAI」を思い浮かべる人が多いだろう。プロンプトを入れると、犬が走っている映像やドローンの空撮風カットが出てくる、あれだ。

Replitが出した「Animated Videos」はまったく別のものだ。

これは動画生成AIではない。動画をコードで書くツールだ。Replitに「こういうモーション動画を作って」と伝えると、AgentがReactとアニメーションライブラリを使ってモーショングラフィックスのコードを書き、それをMP4に書き出してくれる。

仕組みがちょっと変わっている

Animated Videosの技術的なアプローチは正直、かなり面白い。

Replitのエンジニアブログによると、ブラウザのAPIに「今、何時か」を嘘の時刻で教えることでフレーム単位の決定的なレンダリングを実現している。通常のWebアニメーションはリアルタイムの時計に依存するので、録画すると環境によってタイミングがズレる。この「仮想時計テクニック」でCSSトランジションも含めてピクセル単位の再現性を確保しているらしい。

生成されるコードはTypeScriptで、Reactコンポーネントとして構造化される。Remotion(Reactベースの動画フレームワーク)は使っておらず、独自のレンダリングスキルとWebアニメーションライブラリの組み合わせで動いている。

何が作れるのか

向いているのは、いわゆる「モーショングラフィックス」と呼ばれるジャンルの動画だ。

プロダクトのローンチ動画。テキストがスライドインして、機能のハイライトが次々と表示され、最後にCTAボタンがアニメーションで現れるようなやつ。After Effectsで制作会社に発注すると10万円〜のクオリティが、プロンプト数回で出てくる。

ブランド動画やExplainer動画にも使える。色やフォント、トランジションのスタイルを会話で指定できるので、「暗い背景にゴールドのテキストで高級感を出して」「もっとトランジションを速くして」といった微調整が自然言語で完結する。

AI生成画像を途中に差し込むこともできるので、たとえば「製品画像をズームインさせて、その周りにスペックをフェードインさせる」といった複合的なシーンも作れる。

Sora/Runwayとは競合しない

はっきり言うと、これはSoraやRunwayの代わりにはならない。実写風の映像生成はできない。人物が歩くシーン、自然の風景、映画的なショット——そういうものは守備範囲外だ。

逆に、Sora/Runwayが苦手なものをカバーしている。テキストの正確な配置、ブランドカラーの厳密な指定、データに基づくグラフのアニメーション。こうした「デザインの精度が求められるモーション」は、ピクセル生成型のAIよりもコードベースのほうが向いている。

CanvaやAdobe Expressの動画テンプレートともポジションが違う。テンプレートは「用意された枠にコンテンツを流し込む」が、Replitのアプローチは「やりたいことを伝えて、ゼロから構造を生成する」。自由度が根本的に異なる。

無料で使える

これが地味にすごい点で、Animated Videosは無料プランでも使える。Replitのアカウントがあれば、ホームのAppタブからアプリタイプを「Animation」に切り替えるだけで始められる。

MP4への書き出しも追加料金なし。プレビュー画面右上のExportボタンを押すとレンダリングが始まり、完了後にファイルがダウンロードされる。

ただし無料プランのクレジット制限はそのまま適用されるので、複雑な動画を何本も作ろうとするとクレジットが足りなくなる可能性はある。

使い道を考えてみた

実用的なシナリオをいくつか。

SaaS/アプリのローンチ動画。 これが一番ハマるユースケースだと思う。新機能のリリースに合わせて30秒のPV動画を作り、Xやプロダクトページに載せる。外注すれば数日かかるものが、Replitなら会話しながら30分で完成する。

社内向けの説明動画。 新しいツールの導入手順やプロセスの変更を、テキストと図のアニメーションで可視化する。PowerPointのスライドよりも伝わるし、制作コストはほぼゼロ。

SNS向けの短尺コンテンツ。 ブランドカラーとフォントを指定して、数字やデータをアニメーションで見せる15秒動画。インフォグラフィックの動画版として使える。

気になる点

生成される動画の品質はプロンプトの書き方に大きく依存する。「かっこいい動画を作って」だと曖昧すぎて、それなりのものしか出てこない。色、フォント、動きのタイミング、シーン構成を具体的に指示するほど品質が上がる。

また、コードベースで動画を生成するという性質上、3Dエフェクトや粒子系のアニメーションは苦手だろう。あくまで2Dのモーショングラフィックスの範囲内だ。

音声の合成は現時点では含まれていない。ナレーション付きの動画を作りたい場合は、別途音声AIで生成した音声を合わせる必要がある。

「動画制作」の敷居がもう一段下がった

Replitは「アプリを作るツール」として知られているが、Animated Videosの追加で「動画も作れるツール」になった。しかもアプローチが独特で、生成AIの確率的な出力ではなく、コードの決定的な出力として動画を作る。

テキストの位置がプロンプトのたびにズレる、ブランドカラーが微妙に違う——生成AI動画によくあるこうした問題が、コードベースなら原理的に起きない。これは企業のブランドコンテンツ制作においては意外と大きなメリットだ。

After Effectsを学ぶ時間がない人、制作会社に発注する予算がない人にとって、「会話でモーション動画を作れる」選択肢が無料で手に入るのは、素直に良いニュースだと思う。

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