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OpenAIがプレゼン資料を自動生成する会社を買収 — ChatGPTは静かに「Office」を狙っている

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OpenAI NextSlide

OpenAIが、スライド資料を作る会社を買った。派手な発表ではなかったが、意味は小さくない。

8月8日、TechCrunch などが、OpenAIがプレゼン生成スタートアップ NextSlide を買収したと報じた。実際の買収は今年の早い時期に成立していて、公表が数ヶ月遅れて8月になった、という順序らしい。金額は非公表。NextSlideのチームはそのままChatGPTの開発に加わる。

NextSlideが作っていたのは、プロンプトやメモ、ドキュメント、リサーチ結果を放り込むと、編集可能な体裁の整ったスライドに変換してくれるツールだ。創業者のAhmed Beshryは、レジ無し決済のCaper AI(2021年にInstacartが買収)の共同創業者でもある。

「機能を買った」のではなく「人を買った」

正直に言うと、これは典型的なacqui-hire(人材獲得目的の買収)だ。NextSlideのプロダクトがそのままChatGPTに載る、というより、スライド生成を作れるチームをOpenAIが取り込んだ、と読むのが自然だろう。

なぜOpenAIがプレゼンなのか。ここが今回の肝だ。

ChatGPTはすでに文章を書き、表を作り、コードを書き、画像を生成する。足りていなかったのが「見せる資料」——つまりプレゼンだ。そこを埋めるピースとしてNextSlideのチームが入る。文章生成(Word的なもの)、データ処理(Excel的なもの)、そしてスライド(PowerPoint的なもの)。並べてみると、OpenAIがacqui-hireを重ねながら、ChatGPTを軸にした「AIオフィススイート」を一枚ずつ組み立てているのが見えてくる。

これが厄介なのは、OpenAI最大の出資者であり提携相手がMicrosoftだという点だ。Officeを持つMicrosoftと、Officeの領域に踏み込むOpenAI。協業と競合が同じ関係の中に同居し始めている。

何が実現しうるか

仮にChatGPTの中でプレゼン生成がネイティブに動くようになると、体験はこう変わる。

四半期レポートのPDFをアップロードして「役員会向けに10枚にまとめて」と頼めば、要点を抽出し、グラフを配置し、体裁の整ったデッキが数十秒で返ってくる。しかも編集可能な形で。リサーチから資料化までを一つの対話の中で完結できるようになる。これはGamma(gamma-3-ai-presentation で触れた)やCanvaがすでに部分的にやっていることだが、ChatGPTの推論力とリサーチ機能が背後に付くと、下調べの質が一段変わる可能性がある。

ただし、統合がいつ形になるかは未知数だ。acqui-hireの公表が数ヶ月遅れた事実からも、まだ製品化を急いでいる段階には見えない。「ChatGPTでスライドが作れる」が実用レベルで来るのは、もう少し先だろう。

今すぐ日本語でスライドをAIに作らせたいなら

OpenAIの本格対応を待つ間、日本語で今すぐ使える選択肢もある。筆者が国産ツールで試して使い勝手が良かったのが イルシル(irusiru) だ。テキストや箇条書きから日本語のスライドを生成でき、テンプレートも日本のビジネス資料の体裁に寄せてある。海外ツールにありがちな「日本語だとフォントやレイアウトが崩れる」問題が少ないのが利点だった。

もちろん万能ではない。凝ったデザインの自由度ではCanvaに及ばないし、英語圏の最新機能がすぐ来るわけでもない。それでも「日本語の社内資料を手早く形にする」という一点では、現時点で実用的だ。詳しくは イルシルのレビュー にまとめてある。

まとめきれない論点

今回の買収単体のインパクトは、正直そこまで大きくない。金額も非公表で、明日ChatGPTが変わるわけでもない。

だが「OpenAIがオフィス領域を静かに固めている」という文脈に置くと、話は変わる。文章・データ・スライドが一つのAIの中で完結する未来に、また一歩近づいた。その主戦場が、これまでMicrosoftの牙城だったプレゼン資料だという点に、この買収のいちばんの含みがある。

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