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テキストも画像も動画も音声も、1つのモデルで — Xiaomiが出した1兆パラの新オープンモデルMiMo-V2.5

「中国のオープンモデル」と聞いて多くの人が思い浮かべるのはDeepSeekやQwenあたりだろう。だが、スマホでおなじみのXiaomiが、静かにそのリストへ割り込んできている。しかも、テキスト専門でも画像専門でもない、全部を1つで扱うモデルとして。

MiMo-V2.5

MiMo-V2.5 は、Xiaomiが公開したオープンウェイトのネイティブ全モーダル(omnimodal)モデルだ。テキスト・画像・動画・音声を、別々のエンコーダを継ぎ足すのではなく、ひとつの統一アーキテクチャの中で処理する。日本語圏ではまだほとんど話題になっていないが、性能の数字を見ると無視できる存在ではない。

2つのサイズと、その中身

MiMo-V2.5には2構成ある。標準版が総パラメータ310B(アクティブ15B)、上位の MiMo-V2.5-Pro が総パラメータ1.02T(アクティブ42B)というMoE(Mixture of Experts)構成だ。学習には48兆トークンを投入したとされ、コンテキストは最大100万トークンに対応する。

「1兆パラメータ」という数字にギョッとするが、MoEなので実際に1回の推論で動くのは42Bぶんだけ。とはいえ、この規模のモデルをオープンウェイトで出してくること自体が、中国勢のスケーリング競争の本気度を物語っている。

面白いのは、Xiaomiが「小さいほうのV2.5でも、自社のコーディングベンチではPro版と互角の性能を半分のコストで出せる」と主張している点だ。もし本当なら、多くの用途では310B版で十分ということになる。

コーディングとエージェント性能

Xiaomiが推しているのは、コーディングと「エージェントとして長時間動き続ける」能力だ。同社が公開した数字では、SWE-bench Verified で78.9、Terminal-Bench 2.0で68.4。Pro版は数時間かかる自律コーディングタスクでClaude Opusに挑む、という位置づけで語られている。

もうひとつ強調されているのがトークン効率で、西側のトップモデル(Claude OpusやGemini Proクラス)に比べて同等タスクで40〜60%少ないトークンで済む、とされる。エージェント用途はトークン消費がそのままコストに跳ね返るので、この差が本当なら実運用での価格インパクトは小さくない。

ただし——ここは正直に書くが——これらのベンチマークの多くはXiaomi自身が用意した指標(ClawEvalや社内のMiMo Coding Bench)を含んでいる。自社ベンチで良い数字が出るのは当然の面もあり、第三者の独立検証が積み上がるまでは「話半分」で見ておくのが健全だ。

「MiMo Code」との関係

紛らわしいのだが、Xiaomiには MiMo Code という別プロダクトもある。あちらはターミナルで動く**コーディングエージェント(道具)で、今回のMiMo-V2.5はその頭脳になりうるモデル(素材)**だ。エージェントとモデルの両方を自前で揃えにきているあたり、XiaomiがAIコーディングを片手間ではなく戦略事業として見ているのが分かる。

実際どう使えるか、と死角

全モーダル×100万トークンという組み合わせは、考え方次第で用途が広い。たとえば長い会議動画を丸ごと放り込んで、音声・スライド・画面共有をまとめて理解させ、議事録とToDoを出させる——別々のモデルをつなぐパイプラインを組まずに、1モデルで完結させられる可能性がある。オープンウェイトなので、機密性の高いデータを外部APIに出さず自社環境で回す、という選択肢も取れる。

一方で、現実的な死角もある。まず1.02TのPro版を手元で動かすのはほぼ非現実的で、「オープンウェイト=自分のPCで動く」というイメージで近づくと肩透かしを食う。まともに動かすには相応のGPU群かクラウドが要る。それと、全モーダルを1つでこなす設計は器用貧乏の裏返しにもなりうる。特定タスクだけなら専用モデルのほうが上、という場面は当然あるだろう。

とはいえ、スマホメーカーがここまでのモデルをオープンで出してくる時代になった、という事実自体がニュースだと思う。まずは Hugging Face や公式ページ mimo.xiaomi.com で、どんな数字とライセンスで公開されているかを確かめてみるといい。中国オープンモデルの選択肢に、また一つ有力な名前が増えたことは間違いない。

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